山田貴文『催馬楽表現史 童謡(わざうた)として物語る歌』(笠間書院)

3月下旬の刊行予定です。
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山田貴文『催馬楽表現史 童謡(わざうた)として物語る歌』(笠間書院)
ISBN978-4-305-70856-4 C0092
A5判・上製・カバー装・308頁
定価:本体6800円(税別)
物語の中の音楽はどのような役割を果たしているのか
ある一定の文化が固定した社会の中では、
同じ解釈を最低限の了解として享受し、
お互いに評価し合うことが可能である。
物語が享受されていた社会において、
音楽にはどのような体勢、モードが
求められていたのか、
その時代的な変化などを解き明かす。
『とりかへばや』『狭衣物語』『うつほ物語』
『源氏物語』などの物語に書かれた
古代歌謡『催馬楽』の表現を考察。
【 現在日本とされ国境を引いた中で、平安時代当時、展開されていた音楽文化は、もちろん土着の国風と後に定義づけされる音楽と大陸などよりもたらされた唐風とも言われる音楽が中心となって特に宮中を中心に収集され整理され、行事などと共に再発信されていたが、そこには新たに日本化、和風化、和様化、国風化ともいえる外来文化の吸収とそこから独自の文化を形成し発信しようとするいわゆる国風文化生成の動きが表出している。(中略)この外来文化の国風化の変化過程を追うことで、同時に物語が獲得して表現として成熟する動態が確認できるであろうと考える。その動態を追う為には、外来文化であり、そこから国風化し、国風文化としてその後認識された事物を対象に物語での記載表現を追う必要がある。そのため、本書では、唐楽という外来曲を持ち、日本の歌詞を持ち、大陸行事でも国家行事でも採用される『催馬楽』という歌謡を軸に物語を考察する。…「はじめに 物語に引用される音楽」より】
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■著者紹介
山田貴文(やまだ たかふみ)
一九八五年生まれ。立正大学文学部文学科日本語日本文学専攻コース 卒業。
二〇一六年 立正大学大学院文学研究科国文学専攻博士後期課程 修了。
同年、博士(文学)号取得。都内私立高校非常勤講師を経て、立正大学文学部文学科に勤務。現在助教。
専門は、古代文学および物語文学と歌謡文学。
監修協力として『朝日ビジュアルシリーズ 週刊古事記 』01~05(朝日新聞出版 二〇一四年十一月~十二月)など。
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【目次】
凡例
はじめに  物語に引用される音楽
第一章  物語における音楽表現 
第一節 物語と歌謡
第二節 唐楽から雅楽へ
第三節 物語と音楽
第二章  物語に現れる歌 
第一節 人生の転換―『とりかへばや』と催馬楽
第二節 歌の題を名付けられた女の人生―『狭衣物語』と催馬楽
第三節 人間関係を表出―『うつほ物語』と催馬楽
第四節 像を与える歌と祝福の歌―『浜松中納言物語』、『夜の寝覚』と催馬楽
第三章  恋愛と歌
第一節 宴と歌謡―催馬楽と場の意識
第二節 繁栄をたたえる歌―催馬楽「此殿」
第三節 予言する歌・童謡―『続日本紀』に見る催馬楽の原型歌
第四章  歌で示す物語の主題と記憶―『源氏物語』と催馬楽 
第一節 タブーを抱える歌
第二節 場に意味を与える
第三節 記憶を呼び戻す
第四節 一族と歌謡
第五節 『源氏物語』と催馬楽
第五章  記録された催馬楽 
第一節 催馬楽を書く『枕草子』、書かない『枕草子』―『枕草子』と催馬楽、諸本比較
第二節 和様化した歌の言葉―平安朝文学と総角
結び  物語において音楽(歌謡)が導く表現とは
あとがき
参考文献リスト
索引―書名・人名・事項