群馬県吾妻郡高山村に現れたという怪異。雨がしょぼしょぼと降るある夜に一人の傘を差した老婆が手を挙げてバスに乗り込んできた。しかし降りると言っていたバス停に着いても一向に降りる様子がないため、運転手が声をかけに行くと誰もおらず、座席がしっぽりと濡れていたという。
それから三、四ヶ月したある日、同じ運転手が運行するバスで今度は若い女性がやはりあの老婆と同じ場所までと告げてバスに乗った。そして同じくその場所に着いたときにはもうその姿が消えてしまっており、やはり座席は濡れていた。このような怪事に二度も遭遇した運転手はそれから熱を出して寝込んでしまったという。
Illustration 鈴木千春
Illustration ソオ
Illustration 氷厘亭氷泉
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