2010年8月26日

第31回・西鶴研究会(2010年8月26日(木)午後2時~6時、青山学院大学 総合研究ビルディング 10階 第18会議室)

日程     第319回
2010年8月26日(木)
午後2時〜6時
場所     
青山学院大学 総合研究ビルディング 10階 第18会議室 

◆『好色一代男』に描かれる旅-旅のでき心の意味を考える
              東京学芸大学附属国際中等教育学校教諭 杉本紀子

『好色一代男』の前半四巻が、世之介という主人公の諸国遍歴の旅の形式をとり、その途中に出会う諸国の人々、風俗を紹介するという側面を持つということは従来から述べられてきたことである。が、各章で描かれる旅する世之介の姿に、旅で出会う人々との関係にあらためて注視してみると、そこには世之介の旅のあり方そのものにある意味がこめられているように思われてくる。
世之介の旅の始りについては、『好色一代男』の前半四巻を世之介の勘当・出家という事件を大きな区切りとし、それが世之介「家」から切り離し、流離の旅へと追いやる契機となったとする見方が従来なされてきた。が、勘当・出家という要素以外に眼を移すと、彼の旅の始まりは別の時点であるという解釈も成り立つのではないかと考えられる。そして別の時点を起点として見た世之介の旅は、最終目的地までの過程を定めずに諸国をめぐる「拡散する旅」とでもいうような旅の形を我々に提示し、諸国の風俗や人間への興味をより鮮明に描き出そうとしているように思われるのである。今回の発表では巻二の五「旅のでき心」を中心として「旅」という言葉の使われ方とともに、旅をする世之介の姿や行動あるいは心象に注目し、『好色一代男』に見える「旅」観に迫ってみたい。

◆合評、畑中千晶著『鏡にうつった西鶴-翻訳から新たな読みへ』(おうふう、2009年12月刊)

ここ数年、合評と称して、会員が上梓した論文集を取り上げております。主旨は、紙数等の制約が多い学会誌・新聞の書評欄では言及しにくい様々な問題を取り上げて、著者の提示した問題点を多角的に検討してみることにあります。
今回は畑中氏の論文集を取り上げます。はじめに畑中氏に10分ほど補足説明をお願いし、その後自由討論に入ります。会員諸氏には、事前に該書の問題点抽出および整理などをお願いいたします。                      


◆シンポジウム「谷脇西鶴を再考する‐未来の西鶴研究にむけて」

主旨:谷脇理史氏が亡くなられてから、一年近くが経とうとしていますが、氏の存在感は薄れるどころか、日増しに大きくなっているように思われます。それは「谷脇西鶴」の大きさに因ることは間違いありませんが、その谷脇西鶴の多様さ深さを他の西鶴・近世文学者がつかみきれていないところにもあるはずです。
そこで、今回の西鶴研究会では、この問題を正面から議論してみたいと思います。長年「谷脇西鶴」と共闘・並走、あるいは対峙・対決してきた先生方にパネラーとして、所感をお話しいただき、フロアーを交えて本格的な討論を展開できればと思います。この討論が各自の西鶴研究への新たな展望を拓く縁になればと存じます。

《パネラーとテーマ》
篠原進(座長) 戦後近世文学研究史の中の「谷脇西鶴」
矢野公和 『一代男』『永代蔵』の「谷脇西鶴」の読みをめ ぐって
中嶋隆  出版取締りの視点から
広嶋進  成立論(永代蔵・文反古)とその展開から
有働裕  西鶴戯作論の意義と限界