2003年3月27日

第16回・西鶴研究会(平成15年3月27日(木)、青山学院大学)

◇『好色一代男』の構想と島原憧憬     
ノートルダム清心女子大学  広嶋 進


 『一代男』の後半では、周知のように三都の太夫が賞賛されているが、特に島原の太夫に対する賛美が繰り返されている。そして、このような三都のなかでの 上下、中央と地方、今と昔の遊里に対する評価の高下が、そのまま『一代男』の全体の構想と分かちがたく結びついているように思われる。
 「今」(本書刊行時)の大坂新町に対する記述や『諸艶大鑑』との比較を通して、西鶴の『一代男』執筆の動機と主題を探ってみたい。
 考察の過程において、年立の重複の問題や『源氏物語』『伊勢物語』との関連についても触れてみたいと考えている。

◇『武家義理物語』の登場人物-その同質性と対比性-
園田学園女子大学   森 耕一


 西鶴の浮世草子中期の特徴として、中村幸彦氏は「俗物的な談理」をあげた。また最近でも、近世文学会五十周年記念国際シンポジウムでの、揖斐高氏の江戸 文芸における「道徳性や教訓性」に研究の可能性をみるとのプレゼンテーション、あるいは、『文学』2002年5、6月号の座談会での、長谷川強氏の「浮世 草子から勧善懲悪ということがちゃんと出てきていますし、西鶴も勧善懲悪ですよ」という発言もある。だが、西鶴の中期の作品のなかで、教訓や道徳性、勧善 懲悪の前提となる善悪・義理不義理・孝不孝といった対立する倫理的概念を体現した人物が具体的にどのように描かれているか、またそれがストーリーの展開や 話の主題とどのように関わっているのか、考えてみたい。すでに同様に問題意識から『本朝二十不孝』を検討したが、いわゆる西鶴の「談理性」について、今回 は『武家義理物語』の登場人物論を切り口に話の作り方との関連で分析を試みることにする。

○ 司会は未定