2002年8月30日

第15回・西鶴研究会(平成14年8月30日(金)午後2時~6時、青山学院大学)

◇「最期物語」の意義とその方法          
福岡女子大学 大久保順子


 人物(役者等)の最期を描く「最期物語」の場合、西鶴の浮世草子では『男色大鑑』『好色五人女』『椀久一世の物語』等、"演劇"もしくは"演劇的方法" との関係が論じられることが多い。モデルとの関係やルポルタージュ、追善といった「際物的」とされる実説的な要素よりも、「書かれたもの」としての作品世 界に達成されるものは何か、それは"演劇的"なのか、などの問題について本発表では考察したい。後続の役者追善作の先蹤と言われる『嵐無常物語』(貞享五 年刊)等に触れる予定である。その際は既に詳細に行われている先行研究、愛媛近世文学研究会編評釈(昭49)、岡本隆雄氏論考(昭57)等の指摘する問題 点についても検討したいと考えている。

◇『日本永代蔵』の「永代」            
茨城キリスト教大学 染谷智幸


 西鶴は『日本永代蔵』において、「永代」をどのように意識していたのであろうか。商人(町人)にとって、家業が子々孫々に伝わることは、至上の命題であったと考えられるが、西鶴の「永代」もそうしたものと同じと考えてよいのであろうか。
 この点について、西鶴の町人物を中心に、西鶴以降の浮世草子、元禄の商人意識などを中心に考えてみたい。この考察から、西鶴の「永代」意識が他に比して いささか特殊なものであったことが見えてくると同時に、『永代蔵』に商人没落譚が多いことや、冒頭章の次の章で早くも没落譚が登場すること(巻一の二「二 代目に破る扇の風」)などの理由もおぼろげながら見えてくるものと思われる。

○司会は立道千晃氏、篠原進氏の予定