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2017年9月21日

 記事のカテゴリー : 新刊案内

●岩佐美代子『京極派と女房』(笠間書院)

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10月下旬の刊行予定です。

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岩佐美代子『京極派と女房』(笠間書院)
ISBN978-4-305-70841-0 C0095
定価:本体8,000円(税別)
A5判・上製・カバー装・272頁


王朝の美学と女房気質を明らかにするために。
女流文学関係・中世自照文学関係・京極派和歌関係の考察を中心に収録。研究の舞台裏を明かすエッセイも加え、和歌・物語・日記文学の面白さを新たに照らす書。
物語、和歌研究者・愛好者必読の一冊。岩佐美代子著作目録付き。

【久松潜一先生のお講義で永福門院の歌に感銘、「この方の事を知りたい!」と思って以来七十余年。戦中戦後のさまざまの生活変化を経つつ、まことに思いもよらなかった職にも恵まれ、本当に楽しい研究生活を送らせていただきました。かかわって下さいました方々皆様に、そして縁あってめぐり合い、取り扱いました作者・作品・資料・物件のすべてに、心からの感謝を捧げたく、個人的な回想録をもって、御礼の言葉に代えさせていただきます。】...あとがきより

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■著者紹介

岩佐美代子(いわさ・みよこ)

大正15年3月、東京生まれ。昭和20年3月、女子学習院高等科卒業。鶴見大学名誉教授。文学博士。
著書に、『京極派歌人の研究』(笠間書院 昭49年)『あめつちの心 伏見院御歌評釈』(笠間書院 昭54年)『京極派和歌の研究』(笠間書院 昭62年)『木々の心 花の心 玉葉和歌集抄訳』(笠間書院 平6年)『玉葉和歌集全注釈』全四巻(笠間書院 平8年)『宮廷に生きる 天皇と 女房と』(笠間書院 平9年)『宮廷の春秋 歌がたり 女房がたり』(岩波書店 平10年)『宮廷女流文学読解考 総論中古編・中世編』(笠間書院 平11年)『永福門院 飛翔する南北朝女性歌人』(笠間書院 平12年)『光厳院御集全釈』(風間書房 平12年)『宮廷文学のひそかな楽しみ』(文藝春秋 平13年)『源氏物語六講』(岩波書店 平14年)『永福門院百番自歌合全釈』(風間書房 平15年)『風雅和歌集全注釈』全三巻(笠間書院 平14・15・16年)『校訂 中務内侍日記全注釈』(笠間書院 平18年)『文机談全注釈』(笠間書院 平19年)『秋思歌 秋夢集新注』(青簡舎 平20年)『藤原為家勅撰集詠 詠歌一躰・新注』(青簡舎 平22年)『岩佐美代子の眼 古典はこんなにおもしろい』(笠間書院 平22年)『竹むきが記全注釈』(笠間書院 平23年)『讃岐典侍日記全注釈』(笠間書院 平24年)『和泉式部日記注釈[三条西家本]』(笠間書院 平25年)岩佐美代子セレクション1『枕草子・源氏物語・日記研究』(笠間書院 平27年)岩佐美代子セレクション2『和歌研究 附、雅楽小論』(笠間書院 平27年)『京極派揺籃期和歌新注』(青簡舎 平27年)『為家千首全注釈』(笠間書院 平28年)ほか。

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■ご予約・ご注文はこちら

○全国の書店でご予約・ご注文出来ます。お近くの書店にご注文下さい。

○笠間書院から直接購入することも可能です。笠間書院 Web Shop[クレジット決済]。ネット書店での購入をご希望の場合もこちらをご覧下さい。
http://shop.kasamashoin.jp/bd/isbn/9784305708410/

○公費・郵便振替でのご購入の場合
直接小社まで、メール info@kasamashoin.co.jp または下記のフォームで、購入希望としてご連絡ください(書名・冊数・お名前・ご住所・電話番号を明記してください)。
http://kasamashoin.jp/mailform.html

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本書の試し読みはこちら
http://hanmoto.tameshiyo.me/9784305708410

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【目次】

はじめに

女房生活追想
 清少納言のお裁縫
 紫式部のお宮仕え
 「はだかぎぬ」あれこれ

中世自照文学考
 自照文学の深まり―『方丈記』より『とはずがたり』へ―

京極派論考
 土岐善麿と京極為兼
 伏見院宮廷の源氏物語
 伝後伏見院筆「京極派贈答歌集」注釈
 頼みさだめて

幼女から少女へ
 つゆのあとさき―荷風の名作に寄せて我が故郷を思う―
 鳥居先生と寺中先生
 照宮さまと品川巻
 女の子の見た二・二六
 生きんがためのたはむれ―なつかしのカッパ、尾上柴舟先生―
 "Anglo-Saxon"―斎藤勇先生の試験問題―

歌舞伎狂の小娘
 じわが湧く
 松はもとより常盤にて―万三郎と六平太―
 映画「勧進帳」の思い出
 円朝・三木竹二・岡本綺堂

疑似ライブラリアンの記
 コンピュータことはじめ―国会図書館電子計算課にて―
 フリガナの文化
 「そこでアッと驚くんじゃないの!」―小野俊二さんのお教え―
 あふひの祭

大学時代から現在へ
 十六年はひと昔―定年退職に当りて―
 貴重書展の思い出
 青天に有明月の朝ぼらけ
 人生のインデックス

インタビュー
 王朝の美学と女房気質

初出一覧

岩佐美代子著作目録

おわりに

和歌一覧
主要研究者名索引
芸能関係者名索引

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本書所収【和歌一覧】

【あ行】*洋数字は本書の頁数。
あくがるゝ魂のゆくへよ恋しとも思はぬ夢に入りやかぬらん
(玉葉一五九六、伏見院) 103
明けぐれの空にうき身は消えななん夢なりけりと見てもやむべく(源氏物語四九一、女三宮) 102
秋とてや今はかぎりの立ちぬらん思ひにあへぬものならなくに(後撰八二四、伊勢) 128
秋の夜の月毛の駒よわが恋ふる雲居にかけれ時の間も見ん
(源氏二二八、光源氏) 120
あさぎりのうきたるそらにまがひなば我身もしばしたちをくれめや(贈答歌集九、為子) 128
あさぎりのそらにまがひてきえねわれさてとはれではあらじ身なれば(贈答歌集八、伏見院) 128
(上句欠)あさくななしそ水くきのあと
(贈答歌集二三、作者不明) 133
あはれさもその色となき夕暮の尾花が末に秋ぞうかべる
(風雅四九一、為兼) 162
逢ふはかりなくてのみふるわが恋を人目にかくることのわびしさ(後撰一〇一八、読人しらず) 125
あり経れば嬉しき瀬にもあひけるを身を宇治川に投げてましかば(源氏物語七九五、大輔の君) 120
いかで〳〵わすれむこ□よなれし世のしのばれまさることのかず〳〵(贈答歌集二九、為子) 136
幾度の命にむかふ歎きしてうきはて知らぬ世をつくすらん
(玉葉一七一六、伏見院) 119
いさやまたかはりも知らず今こそは人の心を見てもならはめ
(和泉式部集二一一) 132
いづくにも秋のねざめの夜寒ならば恋しき人もたれか恋しき
(玉葉一六四〇、伏見院) 105・142
犬上のとこの山なるいさら川いさと答へてわが名もらすな
(古今六帖、三〇六一) 92
いまよりはもしかよはゞのたのみゆへながめのそらぞあはれそふべき(贈答歌集七、伏見院) 127
入相の声する山のかげくれて花の木の間に月いでにけり
(玉葉二一三、永福門院) 118
うき中のそれを情にありし夜の夢よ見きとも人にかたるな
(風雅一〇九五、為子) 109
憂き世をばいとひながらもいかでかはこのよのことを思ひ捨つべき(和泉式部続集三一三) 130
うす氷とけぬる池の鏡には世にたぐひなきかげぞ並べる
(源氏三五二、光源氏) 96
うつりやすきためしをみする花にしも
(以下欠、贈答歌集三三、伏見院) 137
浦がくれ入江にすつるわれ舟の我ぞくだけて人は恋しき
(玉葉一四八四、伏見院) 105
恨みてもかひなき果の今はたゞうきにまかせて見るぞ悲しき
(玉葉一七九九、新宰相) 116
枝にもる朝日の影の少なさにすゞしさ深き竹の奥かな
(玉葉四一九、為兼) 75・118・139
音せぬが嬉しき折もありけるよ頼みさだめてのちの夕暮
(玉葉一三八二、永福門院) 119・140
音もなく夜はふけすぎてをちこちの里の犬こそ声あはすなれ
(玉葉二一六一、為子) 111
大空にあまねくおほふ雲の心国土うるふ雨くだすなり
(風雅一〇八七、為兼) 76
おぼつかなたれぞ昔をかけたるはふるに身を知る雨か涙か
(和泉式部集二〇四) 131
思はじと思ふばかりはかなはねば心の底よ思はれずなれ
(玉葉一五八五、遊義門院) 115
思ひ〳〵涙とまでになりぬるを浅くも人のなぐさむるかな
(風雅一二〇一、伏見院) 105
おもひすてむ世はおほかたのあはれよりも我身のうへぞわれはかなしき(贈答歌集一六、伏見院) 130
思ふ人今宵の月をいかに見るや常にしもあらぬ色に悲しき
(風雅一二九〇、伏見院) 142

【か行】
かきたれてのどけき比の春雨にふるさと人をいかにしのぶや
(源氏物語四二一、光源氏) 106
かけつれば千々の黄金も数知りぬなど我が恋の逢ふはかりなき(寛平御時后宮歌合一五八、友則) 126
風にさぞ散るらむ花の面影のみぬ色をしき春の夜の闇
(玉葉五六、九条左大臣女) 107
風の音の聞えてすぐる夕暮にわびつゝあれどとふ人もなし
(玉葉一三四一、伏見院) 105
鐘の音のたゆるひゞきに音をそへてわが世つきぬと君に伝へよ(源氏物語一五五、浮舟) 97
木々の心花ちかからし昨日今日世はうす曇り春雨のふる
(玉葉一三二、永福門院) 139
君もまたしのばゝかたりあはせばやゆふべの雨のふかきあはれを(贈答歌集一七、為子) 131
空爆のいまぞ迫るに くらき灯のもとに書きつぎき 最後の章を(京極為兼一一、土岐善麿) 50
暮れかゝる麓はそこと見えわかで霧の上なるをちの山のは
(明題和歌全集五一二〇) 72
呉竹のよゝの古ごと思ほゆる昔語りは君のみぞせん
(和泉式部集四二一) 127
暮れぬるか遠つ高ねは空に消えて近き林のうすくなりゆく
(嘉元元年仙洞歌合、為兼) 72
暮れやらぬ庭の光は雪にして奥くらくなる燈のもと
(風雅八七八、花園院) 116
今朝の間の雪は跡なく消えはてて枯野の朽葉雨しほるなり
(玉葉九八七、延政門院新大納言) 115
心しる鳥のねならばあきの夜の(以下欠)(贈答歌集一一) 129
来ずやあらん来やせんとのみ河岸の松の心を思ひやらなん
(後撰九三八、読人しらず) 130
この暮の心もしらでいたづらによそにもあるか我が思ふ人
(風雅一〇七七、永福門院) 141
木の葉なきむなしき枝に年暮れてまためぐむべき春ぞ近づく
(玉葉一〇二二、為兼) 75
こぼれおちし人の涙をかきやりて我もしほりし夜半ぞ忘れぬ
(玉葉一七六一、伏見院) 104
ころしもあれいくへの雪にみちたえてさはりやすさはとしやへだてん(贈答歌集二四、永福門院) 134

【さ行】
さえわたる池の鏡のさやけきに見なれしかげを見ぬぞかなしき(源氏物語一四四、光源氏) 96
咲きいづる八重山吹の色ぬれて桜なみよる春雨の庭
(玉葉二六六、為子) 110
咲きみてる花のかをりの夕づく日霞みて沈む春の遠山
(玉葉二〇四、実兼) 115
咲きやらぬ末葉の花はまれに見えて夕露しげき庭の萩原
(玉葉四九三、章義門院) 115
さてしもは果てぬならひのあはれさのなれゆくまゝになほ思はるゝ(玉葉一五〇三、親子) 115
里の犬の声をきくにも人しれずつゝみし道のよはぞ恋しき
(光厳院御集一〇九) 117
里びたる犬の声にぞ知られける竹より奥の人の家居は
(玉葉二二五七、定家) 111
さびしさもしばしは思ひしのべどもなほ松風のうすくれの空
(弘安八年四月歌合、為兼) 71
さもこそはよるべの水に水草ゐめ今日のかざしよ名さへ忘る
ゝ(源氏物語五七三、中将の君) 120
小夜ふけて宿もる犬の声高し村しづかなる月のをち方
(玉葉二一六二、伏見院) 111
さればこそそはまほしけれたれも世にさてありふべき物としらねば(贈答歌集五、伏見院) 126
繁き草葉の露払ひ......名残までこそ忘れかねぬれ
(中務内侍日記一〇、為兼) 112
沈みはつる入日のきはにあらはれぬ霞める山のなほ奥の峰
(風雅二七、為兼) 57・73・75・76
しほりつる野分はやみてしのゝめの雲にしたがふ秋の村雨
(風雅六四九、徽安門院) 117
しほれふす枝吹きかへす秋風にとまらず落つる萩の上露
(風雅四八〇、九条左大臣女) 107
しめゆひし小萩が上も迷はぬにいかなる露にうつる下葉ぞ
(源氏物語七二五、中将の君) 120
すてやらぬたゞひとことのあ□れゆへまよはむみちのすゑぞかなしき(贈答歌集三一、永福門院) 137
そなたのそらをながめてぞふる(上句不明)
(贈答歌集六、作者不明) 127
そへて見ばあはれぞみえんふかくしむ心のほかはわけぬおもひを(贈答歌集二六、伏見院) 135
空はれて梢いろこき月の夜の風におどろく蝉のひとこゑ
(風雅四二一、花園院) 56

【た行】
たくましく中世に生きし為兼と 現代のわれを 対決せしむ
(『京極為兼』土岐善麿1) 50
立ちこめてそこともしらぬ山もとの霧の上より明くる東雲
(続後撰三一八、通光) 108
頼まねば待たぬになして見る夜半の更けゆくまゝになどか悲しき(風雅一〇四八、為兼) 74
月影の宿れる袖はせばくともとめても見ばやあかぬ光を
(源氏物語一七四、花散里) 105
つく〴〵と春日のどけきにはたづみ雨の数みる暮ぞさびしき
(玉葉九九、九条左大臣女) 106
つゝむなる人めよさらばしげくなれさてもあひみぬかたにおもはん(贈答歌集一、永福門院大納言) 125
津の国のこやとも人を言ふべきにひまこそなけれ芦の八重茸
(後拾遺六九一、和泉式部) 125
つばくらめ簾の外にあまた見えて春日のどけみ人影もせず
(風雅一二九、光厳院) 116
とはでわれあるべきものかとしもくれ雪もいくへのみちうづむとも(贈答歌集二五、為子) 134
とまるべき宿をば月にあくがれてあすの道ゆく夜半の旅人
(玉葉一一四二、為兼) 76
とりのねや心しりけむいまはとておきつるのちも秋のひと夜を(贈答歌集一〇、伏見院) 129
鳥のゆく夕の空よそのよには我もいそぎし方は定めき
(風雅一三八八、伏見院) 105

【な行】
ながゝらんなげきはたれもかなしけれどせめてわびぬる身とはしらずや(贈答歌集二二、伏見院) 133
ながめする軒のしづくに袖ぬれてうたかた人をしのばざらめや(源氏物語四二二、玉鬘) 106
なごりとは心のみこそなりぬればなにかいまさらあらためもせん(贈答歌集一九、永福門院) 132
なにとたゞさぞとは見てしそのきはをたがせきならぬせきぞゐるらん(贈答歌集一三、永福門院) 129
波こゆる比とも知らず末の松まつらんとのみ思ひけるかな
(源氏物語七五〇、薫) 120
波の上にうつる夕日の影はあれど遠つ小島は色暮れにけり
(玉葉二〇九五、為兼) 56・73・74
なをいさやことの葉こそはあさからねそのふし〴〵もげにはみえねば(贈答歌集四、為子) 126
(上句欠)のちの世までをいかゞたのめむ
(贈答歌集一二、作者不明) 129

【は行】
花のうへにしばしうつろふ夕づく日入るともなしに影きえにけり(風雅一九九、永福門院) 48・56
はるさめのそのふるごとはかきつくしかたりあはすとはれじとぞ思(贈答歌集一八、永福門院) 131
春といへばいつも霞の時にあれどなほ山の端の夕あけぼの
(永仁頃、為兼) 72
春の夜の夢の浮橋とだえして峯にわかるゝ横雲の空
(新古今三八、定家) 102
ひとたびとさこそはやすくおもふともながきなげきとならじ物かは(贈答歌集二一、永福門院) 133
人の見する面影ならばいかばかり我身にそふも嬉しからまし
(玉葉一八二一、伏見院) 103
ひらけそふ梢の花に露みえて音せぬ雨のそゝく朝あけ
(風雅一九八、進子内親王) 116
昼しのぶことだにことはなかりせば日を経てものは思はざらまし(和泉式部続集一一二) 136
吹きさゆる嵐のつての二こゑにまたはきこえぬあかつきの鐘
(風雅七八六、為兼) 57
吹きしほる嵐をこめてうづむらし更けゆく山そ雪にしづまる
(金玉歌合六〇、為兼) 75
吹きしほるよもの草木の裏葉見えて風にしらめる秋の曙
(玉葉五四二、永福門院内侍) 115
更けぬなりほしあひの空に月は入りて秋風うごく庭のともしび(風雅四七一、光厳院) 56・116
ふもとなる草にはしげき山あらしの峰の松には吹くかともなし
(金玉歌合一〇六、為兼) 72
降りうづむ雪に日数はすぎのいほたるひぞ繁き山陰の軒
(光厳院御集一六二、風雅一六〇八) 118
ふりはへて誰はた来なんふみつくる跡見まほしき雪の上かな
(和泉式部集五二八) 134
降りよわる雨を残して風早みよそになりゆく夕立の雲
(風雅四一一、徽安門院小宰相) 116
古き文やや新しく説くことも生きんがためのたはむれにして
(尾上柴舟) 163
故郷を忘れんとてもいかゞせむ旅ねの秋のよはの松かぜ
(新拾遺七六九) 71
時鳥声さやかにて過ぐるあとに折しも晴るゝ村雲の月
(玉葉三三一、九条左大臣女) 108

【ま行】
まきの戸を風のならすもあぢきなし人知れぬ夜のやゝ更くる程(風雅一〇五九、永福門院) 114
まぎれすぎてさておのづからあらるゝを思はれたちて後の夕暮(金玉歌合七六、為兼) 74
ますらをのいのちを懸けてせしわざも過ぎては空し われの知るまで(『京極為兼』土岐善麿10) 50
まちたのめげにあらためぬ心ならばよしみよさらにわれはかはらじ(贈答歌集二〇、為子) 132
松を払ふ風は裾野の草に落ちて夕立つ雲に雨きほふなり
(風雅四〇八、為兼) 74
真萩散る庭の秋風身にしみて夕日の影ぞかべにきえゆく
(風雅四七八、永福門院) 48・140
(上句欠)みだれはまさるこひの涙も
(贈答歌集二八、為兼) 135
身にそへるその面影も消えななん夢なりけりと忘るばかりに
(新古今一一二六、良経) 102
峰にのみ入日の影はうつろひてふもとの野辺ぞくれまさりぬる(為兼卿記二、為兼) 72
峰の嵐軒ばの松を吹きすぎて麓にくだるこゑぞさびしき
(伏見院三十首歌、為兼) 71
み雪ふる枯木の末の寒けきにつばさを垂れて烏鳴くなり
(風雅八四六、花園院一条) 116
眼にちかき庭の桜のひと木のみ霞みのこれる夕暮の色
(玉葉二一〇、九条左大臣女) 108
最上川の上空にして残れるはいまだうつくしき虹の断片
(『白き山』斉藤茂吉) 217
物思へばはかなき筆のすさびにも心に似たることぞ書かるゝ
(玉葉一五三五、為子) 110
物としてはかり難しなよわき水に重き舟しも浮ぶと思へば
(風雅一七二七、為兼) 75・195
物にふれてあはれぞふかきうき世を□いく程かはとおもひたつころ(贈答歌集一五、為兼) 130
もろこしも天の下にぞありと聞く照る日のもとを忘れざらなむ(新古今八七一、成尋阿闍梨母) 161
もろともに大内山は出でつれど入る方見せぬ十六夜の月
(源氏物語七〇、頭中将) 120

【や行】
やへぶきのひまをばしゐてもとめずてしげき人めにことよせんとや(贈答歌集二、為子) 125
山風はかきほの竹に吹きすてて峰の松よりまたひゞくなり
(玉葉二二二〇、為兼) 56・72
山のはにかすめる月はかたぶきて夜深き窓に匂ふ梅が枝
(続古今六九、家良) 108
ゆきかよふ心のまゝのみちならばかへらんかたやせきとならまし(贈答歌集一四、伏見院) 130
夕日さす峰の時雨の一むらにみぎりを過ぐる雲の影かな
(玉葉八六四、実兼) 119
よしやよし心もそへじそへて見ば人のふかさぞいとゞしられん(贈答歌集二七、永福門院大納言) 135
よにかゝる簾に風は吹きいれて庭しろくなる月ぞ涼しき
(玉葉三八七、教良女) 115
世に知らぬ心地こそすれ有明の月のゆくへを空にまがへて
(源氏物語一〇五、光源氏) 113
世に経れど君に遅れて折る花は匂ひて見えず墨染にして
(和泉式部続集四八)137
世の常に思ひやすらむ露深き道の笹原わけて来つるも
(源氏物語六六三、匂宮) 120
宵のまのむら雲づたひかげみえて山のはめぐる秋のいなづま
(玉葉六二八、伏見院) 56・118・139
よもすがら恋ひ泣く袖に月はあれどみし面影は通ひしもこず
(玉葉一四八六、伏見院) 104
世々を経て我やはものを思ふべきたゞ一たびのあふことにより(和泉式部集四九九) 133

【わ行】
わが恋を知らんと思はば田子の浦に立つらん波の数を数へよ
(後撰六三〇、興風集七三、興風) 126
わすらればやすくすつべきなごりかとさらにかなしきあはれをぞおもふ(贈答歌集三〇、伏見院) 136
わびはてしそのふし〴〵をわすれてやさらに心をしらずとはいふ(贈答歌集三、永福門院) 126
我ならで鳥もなきけり音をそへて明けゆく鐘のたゆるひゞきに(中務内侍日記三、中務) 97
我のみやまよはむみちのすゑまでもおくれぬともとならむとすらむ(贈答歌集三二、伏見院) 137
をかのべやなびかぬ松はこゑをなしてした草しほる山おろしの風(嘉元三年仙洞歌合、為兼) 72
荻の葉をよく〳〵見れば今ぞ知るたゞ大きなる薄なりけり
(野守鏡五、為兼) 101


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