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2016年4月26日

 記事のカテゴリー : 新刊案内

●小川靖彦編『萬葉写本学入門 上代文学研究法セミナー』(笠間書院)

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5月下旬刊行予定です。

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ISBN978-4-305-70812-0 C0092
定価:本体1300円(税別)
A5判・並製・カバー装・112頁・口絵カラー2頁

〈読む〉楽しみは、ここから始まる!

文学作品を読むためには、まず本文のあり方を知っておく必要があります。今、目の前にある萬葉集はどれだけ「原文」に近いのか遠いのか。どこまで解明され、何が課題となっているのか。
基本研究文献、萬葉集の伝本一覧、複製・画像、写本・刊本所蔵機関の情報も掲載。知っておくべき、知識と技術の基本を紹介します。

執筆は、小川靖彦/田中大士/城﨑陽子/新谷秀夫/景井詳雅/池原陽斉/新沢典子/樋口百合子/大石真由香/舟木勇治/李敬美/安井絢子/岩田芳子/小田芳寿/嘉村雅江/茂野智大。

【......『萬葉集』に限らず、『古今和歌集』『源氏物語』『平家物語』『奥の細道』、さらには近現代の小説や詩など、文学作品は音楽作品に似ています。音楽作品は作曲家が創作したものですが、演奏されることで初めて姿を現します。演奏者の解読・解釈によって、同じ作品が全く異なる表情を見せます。"唯一の正しい作品"がどこかに抽象的に存在しているわけではないのです。それぞれの演奏が「作品」と言えます。しかし、それは演奏家による創作ではなく、あくまでも作者は作曲家です。
 文学作品も書写・出版されるたびに、解読・解釈されながら、新しい姿に生まれ変わってゆくものと考えられます。紙などの物質的な素材や装丁、文字・絵・図、さらにレイアウトとともに、文学作品の本文は、その都度新たに立ち現れるのです。しかし、それぞれの写本・刊本・近代的印刷本、今日ではさらにコンピュータ上のデジタル情報として現れた作品は、それぞれの製作者の創作ではないのです。それは、『萬葉集』ならば『萬葉集』の一つの姿であることに変わりないのです。】......「萬葉写本学への招待―文学作品における本文とは何か」より

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■編者紹介

小川靖彦(おがわ・やすひこ)
1961年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。青山学院大学教授。博士(文学)。著書に『萬葉学史の研究』(おうふう、上代文学会賞、全国大学国語国文学会賞受賞)、『万葉集 隠された歴史のメッセージ』(角川選書)『万葉集と日本人 読み継がれる千二百年の歴史』(角川選書、古代歴史文化賞受賞)など。

田中大士(たなか・ひろし)日本女子大学教授
城﨑陽子(しろさき・ようこ)國學院大學兼任講師
新谷秀夫(しんたに・ひでお)高岡市万葉歴史館学芸課長
景井詳雅(かげい・よしまさ)洛星中学高等学校教諭
池原陽斉(いけはら・あきよし)東洋大学非常勤講師
新沢典子(しんざわ・のりこ)鶴見大学准教授
樋口百合子(ひぐち・ゆりこ)奈良女子大学古代学学術研究センター協力研究員
大石真由香(おおいし・まゆか)日本学術振興会特別研究員PD
舟木勇治(ふなき・ゆうじ)関東第一高等学校教諭
李敬美(イ・ギョンミ)大阪府立大学客員研究員
安井絢子(やすい・あやこ)日本女子大学大学院生
岩田芳子(いわた・よしこ)日本女子大学助教
小田芳寿(おだ・よしひさ)佛教大学非常勤講師
嘉村雅江(かむら・まさえ)青山学院大学大学院生
茂野智大(しげの・ともひろ)筑波大学大学院生

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■ご予約・ご注文はこちら
直接小社まで、メール info@kasamashoin.co.jp または下記のフォームで、購入希望としてご連絡ください(書名・冊数・お名前・ご住所・電話番号を明記してください)。
http://kasamashoin.jp/mailform.html

■オンライン書店でのご購入はこちらをご参照ください
http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784305708120

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【目次】

萬葉写本学への招待―文学作品における本文とは何か(小川靖彦)
写本研究・本文研究の現在/文学作品の本文とは/上代文学会夏季セミナー「萬葉写本学入門」

Ⅰ 実践!萬葉写本学

『校本萬葉集』の理念と方法(小川靖彦)
1 『校本萬葉集』の成立過程
国家的事業としての『校本萬葉集』/宮廷・文化界を挙げての支援/増補され続けた『校本萬葉集』
2 『校本萬葉集』の理念
調査結果の全面公開/「国民生活」を高めるために
3 『校本萬葉集』の方法
異文情報の階層的処理/〈文字観念〉の次元での校合
4 『校本萬葉集』が投げかける課題
『校本萬葉集』の問題点/これからの本文研究について

万葉集仙覚校訂本のはじまり―仙覚寛元本の復元に挑む(田中大士)
1 寛元本の姿は見えない
2 寛元本の底本
3 寛元本の訓の二本立て構造
4 寛元本はどんな姿だったのか
巻四・六四一/巻四・五三一/京大本代赭書き入れ/神宮文庫本

万葉集享受の歴史―写本から版本へ(城﨑陽子)
1 はじめに―写本から版本へ
2 テキストによって学ぶ
3 近世期の万葉集享受―テキストと注釈
テキスト/注釈
4 おわりに―「万葉集享受の歴史」にむけて

写本を実際に見てみよう(新谷秀夫)
1 『萬葉集』の三つのすがた
2 『萬葉集』写本を実際に見る意義

『万葉集』研究における「写本学」とは何か(景井詳雅)
1 はじめに
2 『校本萬葉集』
3 『万葉集』と写本
4 写本から見えてくるもの
5 「萬葉写本学」と受容研究
6 「萬葉写本学」とは

Ⅱ 現在の研究状況はどうなっているのか

[本文校訂]『萬葉集』伝本と本文の問題―本文異同の実例から(池原陽斉)
古典本文研究のなかの『萬葉集』の位置/本文異同の実際/本文校訂の諸問題/今後の展望

[平安・仮名萬葉と本文研究]本文批評における仮名万葉の価値(新沢典子)
万葉集研究はじめの一歩―本文批評と訓みの確定/訓の重要性/訓みをどう決めるか/仮名書き例援用の限界/仮名万葉―『古今和歌六帖』について/仮名万葉の典拠について

[中世・歌書と萬葉集]中世名所歌集所収万葉歌の価値(樋口百合子)
多数の万葉歌を所収する中世私撰集/『歌枕名寄』所収万葉歌の概要/『名寄』所収万葉歌と仙覚との関係/『名寄』所収万葉歌の実態と価値

[近世・本文系統]禁裏御本書入本の系統関係再考―近世初期の書写活動(大石真由香)
陽明文庫所蔵「古活字本万葉集」書入の書誌的性格/当該「古活字本」の発見による系統関係の見直し/当該「古活字本」書入を調査する意義

コラム 書物、そして人に出会う旅(小川靖彦)
コラム "掘り出し物"を求めて(池原陽斉)

Ⅲ 知っておくべき基本研究文献・伝本・基礎資料

基本研究文献紹介(景井詳雅・舟木勇治・李敬美・安井絢子・岩田芳子・小田芳寿・池原陽斉・嘉村雅江・大石真由香・小川靖彦・茂野智大)
伝本一覧―系統別時代順・全二十八本紹介(小川靖彦・池原陽斉)
基礎資料紹介―複製・画像、および写本・刊本所蔵機関についての情報(小川靖彦・池原陽斉)


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