昭和文学会・2016(平成28)年度 第58回研究集会(2016年5月14日(土)午後1時30分、二松學舎大学 九段キャンパス1号館4階401教室)

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【【企画趣旨】
古来より物語に登場する英雄の陰には、必ず反英雄、アンチヒーローの姿があった。彼らは単に日常を脅かす悪の手先にとどまらず、時には権威・権力を象徴する英雄に対して、抑圧された民意を代弁し、最下層から反抗を続ける魅力的な存在としてその輝きを強めていった。こうした悪漢、ピカロ、ヴィランズの姿は非日常が横溢した世界のみならず、固定化された日常の世界においても、無論その働きを弱めることはない。幅広い作品世界で悪の華を咲かせ続ける彼らをあえて研究の対象とすることは、正統な規範意識への疑義というだけではなく、閉塞的な現在の社会に覆い隠された人間の性そのものに迫る問いとなるだろう。
今回の企画ではこれを踏まえ、コンテンポラリーなモダン都市に生きるという自覚を持った〈都会人〉が、その自負の陰に常に抱いているアイデンティティの揺らぎと不安を、ピカレスクという表象に投影してきた経緯を明らかにすることを目的とする。そのためにはミステリ等のエンターテインメントのジャンルにおける、印象的で誇張された〈悪〉の像を探る一方で、純文学の領域を中心にした、極めて日常的な場に潜む、身近な隣人としての〈悪〉の姿をも視野に入れる必要があるだろう。さらにはこれらの〈悪〉の魅力をより広範に、より鮮烈に描くものとしての、映画等の様々なメディアとの関連も踏まえなければならない。
これらの千差万別な〈悪〉の像を論じるにあたって、今回は戦後から昭和30年代を一つの区切りとし、モダン都市を形成するあらゆるパーツに見え隠れする様々な〈悪〉なるカテゴリーを論じ、そこから同時代性をもって立ち現われてくるピカレスク造形を軸として考察していきたい。】
2016(平成28)年度 昭和文学会 第58回研究集会
日時 5月14日(土)午後1時30分より
会場 二松學舎大学 九段キャンパス1号館4階401教室
(〒102-8336 東京都千代田区三番町6-16)
【特集】 ピカレスク――戦後~昭和30年代における〈悪〉の描出――
開会の辞
二松學舍大学文学部長 江藤茂博
【研究発表】
われは知る、テロリストのかなしき心を――三島由紀夫と二・二六表象――
松下 浩幸
経済小説/映画のなかのピカレスク――「黒シリーズ」における映画俳優・田宮二郎――
志村 三代子
探偵小説ジャンルと〈悪〉の表象――戦後~昭和30年代を中心に――
柿原 和宏
【シンポジウム】
戦後~昭和30年代のピカレスク
ディスカッサント 山口 直孝
(司会) 小松 史生子・細沼 祐介
※ 終了後、二松學舍大学九段キャンパス1号館11階1103会議室にて懇親会を予定しております。予約は不要、当日受付にてお申し込み下さい。