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2016年2月18日

 記事のカテゴリー : 新刊案内

●相澤正夫・金澤裕之編『SP盤演説レコードがひらく日本語研究』(笠間書院)

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3月中旬刊行予定です。

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相澤正夫・金澤裕之編『SP盤演説レコードがひらく日本語研究』
Exploring 78rpm record archives in Japanese language research

ISBN978-4-305-70795-6 C0081
A5判・並製・カバー装・308頁
定価:本体3,900円(税別)

演説の言語は、近代日本語形成史において
どのような役割を果たしたのか

日本最古のまとまった音源である大正〜昭和戦前期のレコード音声と文字化資料を対象に、方言を中心とする音声研究、変異理論や談話分析に基づく社会言語学的研究、文法・語彙を中心とする近世・近代語研究、話し言葉・書き言葉のコーパス言語学的研究、と多角的アプローチ。
大正以前の過去へ、そして現代へとつながる言語理論を切りひらく。

本書は......SP盤レコードに遺された、大正から昭和戦前期の政治家・軍人・実業家・文化人等の演説・講演を中心とする録音音声資料と、それを忠実に文字に起こした文字化資料に基づき、多様な背景をもつ12人の日本語研究者が、それぞれの持ち味を生かして新たな研究活用の方途を探索した成果である。書名では「SP盤演説レコード」と一括りにしたが、実際に収録されている内容は演説に加えて講演・訓話・法話・説教、朗読・実況・ドラマ、さらには自治体の行政広報と、そのジャンルにはかなりの広がりがある。......「はじめに」より】

SP盤レコード(standard playing record)とは、1948年頃にLP盤レコード(long playing record)が開発されて以降、それ以前の蓄音機用レコードをstandard playing record と呼んで区別するようになった、その名称の略称である。日本ではこの呼称が普通に使われるが、国際的には、このレコードの1分間の回転数に由来する"78rpm record"という名称の方がよく使用される。最初期には片面盤のものも見られるが、通常は両面盤で、一面の録音時間は3分程度までのものがほとんどである。】

執筆は、相澤正夫/金澤裕之/東照二/岡部嘉幸/小椋秀樹/尾崎喜光/高田三枝子/田中牧郎/南部智史/松田謙次郎/丸山岳彦/矢島正浩。

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【編者紹介】

相澤正夫(あいざわ・まさお)
国立国語研究所時空間変異研究系教授。著書 『外来語研究の新展開』(共編著、おうふう、2012)、『現代日本語の動態研究』(編著、おうふう、2013)、『大正・昭和戦前期 政治・実業・文化 演説・講演集―SP盤レコード文字化資料』(共編、日外アソシエーツ、2015)

金澤裕之(かなざわ・ひろゆき)
横浜国立大学教育人間科学部教授。著書・論文 『大正・昭和戦前期 政治・実業・文化演説・講演集--SP盤レコード文字化資料』(共編、日外アソシエーツ、2015)、「録音資料による近代語研究の今とこれから」『日本語の研究』11-2(2015)、「現代に繋がる近代初期の口語的資料における言語実態」『国立国語研究所論集』10(2016)

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■ご予約・ご注文はこちら

直接小社まで、メール info@kasamashoin.co.jp または下記のフォームで、購入希望としてご連絡ください(書名・冊数・お名前・ご住所・電話番号を明記してください)。
http://kasamashoin.jp/mailform.html

■オンライン書店でのご購入はこちらをご参照ください
http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784305707956

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【目次】

はじめに●相澤正夫

[資料解説]SP盤レコードと岡田コレクション●金澤裕之
はじめに/岡田コレクション「SP盤貴重音源集」について/演説・講演レコードの資料的性格/文字化の実態と作成資料について/録音資料の歴史/作品名一覧【音源順・通番】

I 音源資料がひらく音声・発話の研究

1 幕末~明治前期のガ行鼻音を推定する●相澤正夫
要旨/はじめに/分析対象とするデータの作成/ガ行鼻音の保持状況の捉え方/東日本各地におけるガ行鼻音の保持状況/おわりに

2 大正期演説のピッチ―ピッチレンジおよび大隈演説のfinal loweringについて●高田三枝子
要旨/研究の概要/岡田コレクション大正期演説の音声資料/大隈演説におけるfinal loweringの生起範囲/今後の展望

3 大正〜昭和前期の演説・講演における漢語の読みのゆれ●松田謙次郎
要旨/はじめに/方法論/「存」類/「没」類/「達」類/「重」類/軍人読み?/まとめ

4 戦時中の広報―東京市情報課の「巻き込み」手法●東 照二
要旨/はじめに/理論的背景/データ/分析/まとめ

II 文字化資料がひらく文法・形式の研究

1 大正~昭和前期の演説・講演レコードに見る「テおる/テいる」の実態●金澤裕之
要旨/はじめに/調査について/調査結果Ⅰ〔一般的な傾向〕/調査結果Ⅱ〔個別的な特色〕/おわりに/本稿において調査対象とした「テいる」の用例一覧/岡田コレクション「演説音源集」〔分類一覧〕

2 大正〜昭和前期における助動詞マスの終止・連体形について―マスルの使用状況を中心に●岡部嘉幸
要旨/はじめに/終止・連体形「マス」「マスル」の使用実態/「マス」と「マスル」の使い分け/マスルの表現価値―終止法の場合/おわりに

3 従属節の主語表示「が」と「の」の変異●南部智史
要旨/はじめに/調査対象/「が」と「の」の分布/変化について/変化の推進要因としての「の」生起環境の縮小・消失/まとめ

4 大正~昭和前期の丁寧語諸表現の動態●尾崎喜光
要旨/はじめに/分析/今後の課題

III 文字化資料がひらく文体・表現の研究

1 条件表現の用法から見た近代演説の文体●矢島正浩
要旨/本稿の目的/方法/話し言葉資料でも使用が見られる接続辞について/話し言葉資料では多用されない接続辞について/演説の文体を形作るもの/おわりに

2 大正〜昭和前期における演説の文体●小椋秀樹
要旨/はじめに/先行研究/目的・調査対象・方法/分析データ/調査結果/終わりに

3 演説の文末表現の変遷―明治時代から昭和10年代まで●田中牧郎
要旨/本稿の目的と問題/演説の文末表現の調査/敬体と常体/名詞類に下接する文末表現/まとめと課題

4 大正〜昭和前期の演説に現れる文末表現のバリエーション●丸山岳彦
要旨/はじめに/先行研究と本稿の目的/分析(1):大正〜昭和前期の演説に現れる文末表現/分析(2):平成期の演説に現れる文末表現/考察/展望

「あとがき」に代えて―文字化を巡るこぼればなし●金澤裕之

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【執筆者紹介(五十音順)】

東 照二(あずま・しょうじ)
ユタ大学言語文学部教授。著書・論文 『社会言語学入門』(研究社出版、2009)、『選挙演説の言語学』(ミネルバ書房、2010)、「スキーリフトに乗り合わせた北米の初対面の人たちは、どのように会話をするのか―スモールトークの談話分析」『スキー研究』12-1(2015)

岡部嘉幸(おかべ・よしゆき)
千葉大学文学部教授。著書・論文 「雑誌『太陽』における時の助動詞覚書―文体と時の助動詞使用のダイナミズム―」森雄一ほか編『ことばのダイナミズム』(くろしお出版、2008)、「現代語からみた江戸語・江戸語からみた現代語―ヨウダの対照を中心に」金澤裕之・矢島正浩編『近世語研究のパースペクティブ―言語文化をどう捉えるか』(笠間書院、2011)、「近世江戸語のハズダに関する一考察―現代語との対照から―」青木博史ほか編『日本語文法史研究 2』(ひつじ書房、2014)

小椋秀樹(おぐら・ひでき)
立命館大学文学部教授。著書・論文 「現代日本語における外来語表記のゆれ」相澤正夫編『現代日本語の動態研究』(おうふう,2013)、『講座日本語コーパス 2 書き言葉コーパス―設計と構築』(共著、朝倉書店、2014)、「複合動詞後項の表記の経年変化―BCCWJを資料として―」『論究日本文学』102(2015)

尾崎喜光(おざき・よしみつ)
ノートルダム清心女子大学文学部教授。著書・論文 「「~てもらっていい?」の普及に関する研究」『清心語文』17(2015)、「校歌の歌詞に関する言語学的研究―倉敷市の公立学校の場合―」[共著]『清心語文』17(2015)、「全国多人数調査から見るガ行鼻音の現状と動態」『ノートルダム清心女子大学紀要 日本語・日本文学編』39-1(2015)

高田三枝子(たかだ・みえこ)
愛知学院大学文学部准教授。著書・論文 『日本語の語頭閉鎖音の研究:VOTの共時的分布と通時的変化』(くろしお出版、2011)、"Regional and generational variation of VOT in Japanese word-initial stops." Endo, M. ed., Papers from the first international conference on Asian geolinguistics.(International Conference on Asian Geolinguistics, 2012)、「有声破裂音の後続する促音閉鎖区間の有声性に関する音声パターン」『明海日本語』18(増刊号、2013)

田中牧郎(たなか・まきろう)
明治大学国際日本学部教授。著書 『雑誌『太陽』による確立期現代語の研究』(共編著、国立国語研究所報告122、博文館新社、2005)、『近代書き言葉はこうしてできた』(岩波書店、2013)、『コーパスと日本語史研究』(共編著、ひつじ書房、2015)

南部智史(なんぶ・さとし)
日本学術振興会特別研究員PD。著書・論文 「定量的分析に基づく「が/の」交替再考」『言語研究』131(2007)、「ガ行鼻音の衰退過程とその要因について―札幌と富良野の言語調査データを利用して―」『国立国語研究所論集』7( 共著、2014)、"An experimental study on adjacency and nominative/genitive alternation in Japanese." Formal Approaches to Japanese Linguistics 7(共著、MIT Working Papers in Linguistics、2014)

松田謙次郎(まつだ・けんじろう)
神戸松蔭女子学院大学文学部教授。著書・論文 『国会会議録を使った日本語研究』(ひつじ書房、2008)、「東京方言格助詞「を」の使用に関わる言語的諸要因の数量的検証」『国語学』51-1(2000)、「形態素解析の大規模言語調査データへの応用―岡崎敬語調査 パネルデータにおける名詞・代名詞・動詞の相対頻度数に対する話者性別効果の検証―」『国立国語研究所論集』7(2014)

丸山岳彦(まるやま・たけひこ)
国立国語研究所言語資源研究系・コーパス開発センター准教授。著書・論文 『講座 日本語コーパス 1 コーパス入門』(共著、朝倉書店、2013年)、『日本語複文構文の研究』(共編著、ひつじ書房、2014年)、『話し言葉と書き言葉の接点』(共著、ひつじ書房、2014年)

矢島正浩(やじま・まさひろ)
愛知教育大学教育学部教授。著書・論文 『近世語研究のパースペクティブ』(共編、笠間書院、2011)、『上方・大阪語における条件表現の史的展開』(笠間書院、2013)、「条件表現史における近世中期上方語ナレバの位置づけ」『近代語研究』17(2013)