大谷歩『万葉集の恋と語りの文芸史』(笠間書院)

3月上旬の刊行予定です。
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大谷歩『万葉集の恋と語りの文芸史』
ISBN978-4-305-70796-3 C0092
A5判・上製・カバー装 292頁
定価:5,800円(税別)
日本人の恋の起源を解き明かす、〈古物語り〉から〈今物語り〉へのラブヒストリー。
東アジア文学圏では特殊な、「恋」という概念を文芸上に成立させた日本。その源流を求め、万葉以前より語り継がれた伝説〈古物語り〉から、近時の現実性をもった〈今物語り〉へと至る物語り形成の系譜を辿る。明かされる男女の恋の歴史。
【人はなぜ自らの心のうちを歌に詠み、他者と歌をとおして交わり、そしてそれを文字という方法で残そうとしたのか。その謎を解こうとする時の最良の素材が『万葉集』の恋の歌であり、最も難しいテーマであったと思う。『万葉集』の恋歌は、声のテキストの段階と文字のテキストの段階が複雑に入り交じり、一筋縄ではなかなかその正体を明かしてはくれない。作品はあくまでも人間が生み出した虚構の世界ではあるが、そこに人間の〈心〉を捉えようと努めなければ、作品を理解したといえるのだろうか。と同時に、本書では論証に多くの漢文文献や仏教経典を用いたが、それらは単なる語彙の出典にとどまらず、作品の形成に深く関与している状況が明らかになった。このことからすれば、出典論から作品論への展開が求められており、作品の〈心〉と出典がいかに呼応しているのかを解き明かすことが今後重要な課題となるであろう。本書が目指したのは、この意味からの作品論でもあった。】「おわりに」より
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■著者紹介
大谷歩
(おおたに・あゆみ)
1986年、宮城県仙台市に生まれる。2008年、國學院大學文学部日本文学科卒業。2010年、國學院大學大学院文学研究科文学専攻博士課程前期修了。2015年、國學院大學大学院文学研究科文学専攻博士課程後期修了。学位取得  博士(文学・國學院大學)。現在、奈良県立万葉文化館研究員。
共著に『古事記歌謡注釈 歌謡の理論から読み解く古代歌謡の全貌』(辰巳正明監修、2014年、新典社)がある。
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【目次】
はじめに
凡例  
愛のはじまりの物語り–序論
本書の目的と方法
『万葉集』の恋と語りに関する研究史
〈由縁〉をめぐる〈古物語り〉と〈今物語り〉
本書の概要
第一章 磐姫皇后と但馬皇女の恋歌の形成–〈類型〉と〈引用〉の流通性をめぐって
一 序  
二 磐姫皇后をめぐる〈古物語り〉の形成  
三 但馬皇女をめぐる〈今物語り〉の形成  
四 朝川を渡る女  
五 結  
第二章 桜児・縵児をめぐる〈由縁〉の物語り
一 序  
二 古代の婚姻をめぐる女性の生き方  
三 桜児・縵児をめぐる〈古物語り〉  
四 桜と縵をめぐる起源伝説の成立  
五 結  
第三章 真間手児名伝説歌の形成–歌の詠法を通して
一 序  
二 赤人の「過」の歌の方法  
三 虫麻呂の「詠」の歌の方法  
四 結  
第四章 嫉妬と怨情–古代日中文学の愛情詩と主題の形成
一 序  
二 古代中国の棄婦詩と怨情詩  
三 古代日本の〈嫉妬〉の歌と物語り  
四 結  
第五章 怨恨歌の形成–〈棄婦〉という主題をめぐって
一 序  
二 主題としての〈怨恨〉の歌の形成  
三 主題としての〈棄婦〉の歌の形成  
四 結  
第六章 「係念」の恋–安貴王の歌と〈今物語り〉
一 序  
二 「係念」の訓詁と注釈  
三 仏典語「係念」と左注の意図  
四 安貴王の歌と〈今物語り〉  
五 結  
第七章 「係恋」をめぐる恋物語りの形成–「夫の君に恋ひたる歌」をめぐって
一 序  
二 仏典語「係恋」の意味  
三 仏典にみる「係恋」の語の性格  
四 「係恋」をめぐる恋物語りの成立  
五 結  
第八章 愚なる娘子–「児部女王の嗤へる歌」をめぐって
一 序  
二 尺度の娘子をめぐる妻争い  
三 『万葉集』の嗤笑歌と愚なる娘子  
四 「嗤咲」と「愚」の世界  
五 結  
初出論文一覧  
おわりに  
事項索引