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2016年1月20日

 記事のカテゴリー : 新刊案内

●日置貴之『変貌する時代のなかの歌舞伎 幕末・明治期歌舞伎史』(笠間書院)

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2月中旬の刊行予定です。

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日置貴之『変貌する時代のなかの歌舞伎 幕末・明治期歌舞伎史』(笠間書院)
ISBN978-4-305-70798-7 C0095
A5判・上製・カバー装・348頁
定価:本体6,500円(税別)

「江戸の芝居」を見ることができないとすれば、いま私たちが見ているものは何か。
現代に生きる私たちが歌舞伎を見る空間とは明治以降に形作られたそれ以外にはあり得ず、そこで演じられる芝居も、そうした空間で近代に形作られてきたものでしかあり得ない。では「明治の芝居」とは何なのか。

本書は日本の歴史上屈指の激動の時代の、幕末・明治期の歌舞伎の全貌を、あらためて捉えなおすべく編まれた。当時「正統」派が読みなおしていた古典作品の様相や、「正統」派だけでなく、「傍流」とされてきた上方劇壇、今日では忘れられた存在となっている戦争劇や災害劇にも目を向け、今日の私たちが見ている歌舞伎との新たなつながりを見い出す。

【......だが、「明治の芝居」にしても、そうした、「江戸時代の芝居」の次に現れて、今日の歌舞伎につながるもの、というような図式でのみ捉えられるものではないのではないか。団十郎、菊五郎が今日の歌舞伎の基礎を築いたことも、彼らの存在が従来の演劇史の中で大きな位置を占めていることもわかるが、では、彼らの演じた芝居は同時代の他の人々のそれと何が違ったのか。あるいは、彼らの演じた芝居でも、今日まで残らなかったものは無数にあるわけで、そういった作品はどういったものであったのか、また、なぜ残らなかったのか。明治期の東京以外の地域、たとえば大阪や京都、あるいはそういった大都市の役者が旅芝居で回ったような地方では、どういった芝居が演じられていたのか。こういった疑問について見ていくと、明治期の歌舞伎が、日本の歴史上屈指の激動の時代にふさわしい、多様な姿を持ったものであることがわかってくる。と同時に、そうした多様性の中から、ある方向への「統一」の機運も現れてくる(それこそが私たちが漠然と思い描く、今日の芝居の礎となった「明治の芝居」である、といえるかもしれない)。本書では、そうした変わりゆく時代のなかの歌舞伎の姿を描き出していきたい。】......はじめにより

●日置貴之『変貌する時代のなかの歌舞伎 幕末・明治期歌舞伎史』の「はじめに」を全文公開
http://kasamashoin.jp/2016/02/post_3555.html

■カバー
豊原国周「明治年間東日記」(著者蔵)
左から坂東志う調の覚ノ進妹お浪、五代目坂東彦三郎の清水谷の丞、四代目中村芝翫の大仏六郎、五代目尾上菊五郎の松や幸次郎。

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■著者紹介

日置貴之(ひおき・たかゆき) Hioki Takayuki

1987年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部総合人文学科演劇映像専修卒業。東京大学大学院人文社会系研究科修士課程・博士課程修了。博士(文学)。現在、白百合女子大学文学部講師。
共著に、国立劇場調査養成部編『未翻刻戯曲集21 東山桜荘子』(独立行政法人日本芸術文化振興会、2015年)、井上泰至・田中康二編『江戸文学を選び直す』(笠間書院、2014年)などがある。

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■ご予約・ご注文こちら
直接小社まで、メール info@kasamashoin.co.jp または下記のフォームで、購入希望としてご連絡ください(書名・冊数・お名前・ご住所・電話番号を明記してください)。
http://kasamashoin.jp/mailform.html
■オンライン書店でのご購入はこちらをご参照ください
http://www.hanmoto.com/bd/isbn9784305707987.html

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【目次】

はじめに

凡例

第一章 散切物と古典

第一節 「於岩稲荷験玉櫛」と五代目尾上菊五郎―「四谷怪談」大詰の演出をめぐって―
 はじめに
 一、「於岩稲荷験玉櫛」
 二、五代目菊五郎の怪談狂言における敵討
 三、「祭礼の場」のその後
 おわりに
第二節 黙阿弥「東京日新聞」考―鳥越甚内と景清―
 はじめに
 一、散切物の定義とその初作
 二、「東京日新聞」
 三、甚内と景清
 おわりに
第三節 黙阿弥散切物と古典
 はじめに
 一、初期作品における古典的イメージの利用
 二、西南戦争以降
 三、筆売り幸兵衛の誕生
 おわりに
第四節 三遊亭円朝「英国孝子之伝」の歌舞伎化
 はじめに
 一、円朝「英国孝子之伝」について
 二、歌舞伎への脚色と従来の評価
 三、「飜訳西洋話」の内容
 四、「西洋噺日本写絵」の真の姿
 五、団十郎の切腹の演技
 おわりに

第二章 戦争劇と災害劇

第一節 上野戦争の芝居―黙阿弥・其水の作品を中心に―
 はじめに
 一、「狭間軍紀成海録」
 二、「明治年間東日記」
 三、「皐月晴上野朝風」
 四、その他の上野戦争物狂言
 おわりに
第二節 「会津産明治組重」考―其水の日清戦争劇にみる黙阿弥の影響―
 はじめに
 一、日清戦争劇の上演と「会津産明治組重」
 二、会津戦争と騙り
 三、「組重」の意味
 四、黙阿弥からの継承
 おわりに
第三節 幕末・明治の芝居と災害
 はじめに
 一、幕末・明治の芝居と現実の災害
 二、災害の演出
 三、災害劇と戦争劇
 四、戦争劇との共通性―「真に迫る」ということ―
 おわりに

第三章 上方劇壇と「東京」

第一節 明治初期大阪劇壇における「東京風」
 はじめに
 一、新作狂言の増加
 二、三栄、河竹能進・勝諺蔵親子と黙阿弥受容
 三、劇場と興行
 四、「東京風」から東京への「還流」
 おわりに
第二節 上方における初期の散切物について―「娼妓誠開花夜桜」を中心に―
 はじめに
 一、上方における散切物の始まり
 二、「娼妓誠開花夜桜」
 三、古典の利用と描かれた東京
 おわりに
第三節 狂言作者佐橋富三郎
 はじめに
 一、佐橋富三郎の経歴
 二、佐橋富三郎の作品
 おわりに
第四節 桜田門外の変の劇化について
 はじめに
 一、上方の明治維新物狂言
 二、黙阿弥による「暗示」
 三、上方における劇化(一)―旅芝居から中芝居、そして大芝居へ―
 四、上方における劇化(二)―内容の変遷―
 五、東京での上演
 おわりに
第五節 明治期大阪の歌舞伎と新聞―続き物脚色狂言の誕生―
 はじめに
 一、明治期大阪の新聞と演芸
 二、新聞続き物の歌舞伎化
 三、原作との距離
 おわりに
第六節 明治期上方板役者評判記とその周辺
 はじめに
 一、明治期の役者評判記
 二、明治期上方板役者評判記(一)―櫓連系―
 三、明治期上方板役者評判記(二)―中井恒次郎系―
 おわりに
第七節 東京の中の「上方」―鳥熊芝居以降の春木座について―
 はじめに
 一、鳥熊芝居とその影響
 二、鳥熊以後の春木座
 三、「大阪風」と「東京風」
 おわりに

附録 東京都立中央図書館加賀文庫蔵『合載袋』―明治期狂言作者の手控え―
 はじめに
 書誌
 翻刻
 解題
 おわりに

おわりに

初出一覧
人名索引
書名・作品名索引


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