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2015年1月13日

 記事のカテゴリー : 新刊案内

●古橋信孝・居駒永幸編『古代歌謡とはなにか 読むための方法論』(笠間書院)

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2月上旬の刊行予定です。

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古橋信孝・居駒永幸編『古代歌謡とはなにか 読むための方法論』(笠間書院)
ISBN978-4-305-70756-7 C3092
A5判・上製・カバー装・476頁
定価:本体13,000円(税別)

古代歌謡を読むには方法が必要である。
琉球、万葉と周辺を抱え込み、新たな視角を模索し、表現論と作品論を、連続し関連する課題として究明する21編。
古代歌謡を中心とした文学の戦後研究史、「歌謡と和歌」「民謡」「童謡」「時人」の各研究史をまとめ、歌謡研究を概観している用語解説も収録。
研究史を振り返り自分たちの位置を確かめることが新たな方法を導く。

執筆は、編者、古橋信孝、居駒永幸のほか、石川久美子、遠藤集子、倉住薫、近藤信義、坂根誠、島村幸一、鈴木崇大、関口一十三、高桑枝実子、田中美幸、綱川恵美、森朝男、山口直美、山崎健太、横倉長恒。

【ここ二十年近く、今は方法の時代ではないという言い方がされ、作品そのものの精緻な読みに向かう傾向が強い。一九七〇年代後半辺から、欧米の見方が次々移入され、方法が軽くなったことがある。見方を変えれば別のものが見える程度のことが方法を軽くしたのだと思う。......私は若い頃、われわれの時代の感じ方や考え方で読むのは誤りで、その時代の考え方感じ方で読むことを主張してきた。そのために方法が必要だったのである。......
 最近求められている精緻な読みとはどういうものだろうか。作品内に限定して普遍性の側に立って読むことらしい。それでは作品はある社会に生きた人間の営為であることが忘れられ、ただ分析するためのものになっていくだろう。そしてこれは周辺の作品や前代、後代との繫りを遮断していくことになっていき、研究を痩せ細らせていく。
 というわけで、研究論文はつまらなくなった。たぶんそういう論文を書いている本人もつまらないのではないかと思う。作品内部に閉じて読むのも方法である。ならばやはりもう一度方法を考えたほうがいいのではないか。】......本書「Ⅴ 研究史」(古橋信孝執筆)より

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■編者紹介

古橋信孝(ふるはし・のぶよし)Furuhashi Nobuyoshi

1943年東京生まれ。東京大学大学院博士課程修了。博士(文学)。武蔵大学名誉教授。
『古代和歌の発生』(東京大学出版会、1988年)、『神話・物語の文学史』(ぺりかん社、1992年)、『和文学の成立』(若草書房、1998年)、『日本文学の流れ』(岩波書店、2010年)など。

居駒永幸
(いこま・ながゆき)Ikoma Nagayuki

1951年山形生まれ。國學院大學大学院博士課程修了。博士(文学)。明治大学教授。
『古代の歌と叙事文芸史』(笠間書院、2003年)、『日本書紀【歌】全注釈』(共編、笠間書院、2008年)、『歌の原初へ 宮古島狩俣の神歌と神話』(おうふう、2014年)など。

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■ご予約・ご注文は版元ドットコムで
http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-305-70756-7.html
または、直接小社まで、メールでinfo@kasamashoin.co.jpご連絡いただいても構いません。またはこちらのフォームで、購入希望としてご連絡ください(書名・冊数・お名前・ご住所・電話番号を明記してください)。
http://kasamashoin.jp/mailform.html

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【目次】


序論―古代歌謡研究の新地平を目指して(居駒永幸)

Ⅰ 歌謡の生態

伝承について考える―武蔵国の防人歌を中心に(近藤信義)
はじめに/歌の伝承と類歌/武蔵国の防人歌/伝承の歌/おわりに―伝承

記紀の結婚伝承と歌謡(森朝男)
巡行と出逢い/相手方の拒絶と求婚の蹉跌/所顕しと名告り

宮古島狩俣の史歌、ニーラーグ―男性歌唱者「アーグシュー」が謡う視点から
(島村幸一)
はじめに―男性歌詞者を主体とするウタ/宮古島狩俣のニーラーグ/まとめ

「泳の宮」の伝承歌―万葉集巻十三と記紀の世界(倉住薫)
はじめに/「行靡闕矣」の訓読/「日向かひに い行き靡かふ大宮」/景行紀との関連/「泳の宮」伝承/おわりに

渡唐儀礼とウタの場―男女の視点から(綱川恵美)
はじめに/男性たちのウタ―王府儀礼/女性たちのウタ―「踊合」を中心に/おわりに

Ⅱ 歌謡と物語(歴史・神話)

髪長比売―方法論としての歌謡分析(山崎健太)
序/分析素材と方法の提示/表現様式の持つ意味/記紀の現れよう/コンテクストの中で/結び

古代歌謡が語る応神の時代―交通網の整備と文物の渡来(石川久美子)
はじめに/文物の渡来/交通網/宇治という要所/〈うた〉が語る応神の時代の歴史

王権の始まりを記す―伊須気余理比売の役割について(山口直美)
はじめに/伊須気余理比売/妻求ぎ/皇位継承/結びにかえて―系譜語りとして

Ⅲ 歌謡から和歌へ

齊明天皇「建王悲傷歌群」の語るもの(横倉長恒)
はじめに/古代文学研究史素描(「事件」を巡って)/「皇孫建王悲傷歌群」の問題点/齊明「五月悲傷歌群」の語るもの/終わりに

記紀歌謡と万葉集―挽歌成立の問題として(高桑枝実子)
はじめに/記紀歌謡の哀惜表現/万葉挽歌との比較

詠歌と伝承と―山部赤人の場合(鈴木崇大)
はじめに/長歌の表現/反歌の表現/讃歌の形式/赤人と伝承/おわりに

有間皇子歌群に関する一考察―山上憶良歌を中心に(田中美幸)
はじめに/有間皇子挽歌群/鳥翔成/一四五番歌の作歌年代/ヤマトタケルと有間皇子/有間皇子挽歌群の意義/まとめ

Ⅳ 対論 歌謡の人称

琉球の神歌の「名乗り」表現―一人称表現、三人称表現を中心に(島村幸一)
はじめに/宮古島狩俣の神歌の「名乗り」表現/オモロの「名乗り」表現/まとめ

歌謡の人称の仕組み―神歌の叙事表現から(居駒永幸)
はじめに/タービの表現様式/叙事表現と一人称/人称の混在の発生/記紀歌謡の人称/結び

コラム
タームの共有ということ―趣旨説明
(近藤信義)

Ⅴ 研究史

研究史―方法について(古橋信孝)

戦後研究史年表
 
「「歌謡」と「和歌」」研究史(遠藤集子)
はじめに/研究史概観/歌謡と和歌の差異―妻問いの歌を例として/おわりに

「民謡」研究史(坂根誠)
はじめに/近代以前/明治期/大正期/昭和期/公共放送と刊行物/おわりに

「童謡」研究史(関口一十三)
童謡とは/研究史の流れ/今後の展望/【「童謡」参考文献一覧】

「時人」研究史
(石川久美子)

オモロ研究史―仲原善忠の研究を中心に
(島村幸一)
はじめに/仲原善忠の戦後のオモロ研究/仲原善忠の戦前のオモロ研究/まとめとして

コラム
六、七十年代のこと
(森朝男)

VI 歌謡研究概観

山崎健太・綱川恵美
古代歌謡の範囲/総論/歌のありよう、テーマ―大歌・禁忌・神婚・歌垣・国見・村建て(島建て)・英雄叙事・葬送歌・旅歌/歌の表現、様式

VII 古代歌謡研究会記録

研究会開催記録
古代歌謡研究会に向けて......(古橋信孝)
古代歌謡研究会便り

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執筆者略歴(五十音順)

石川久美子(いしかわ くみこ)
1984年東京生まれ。武蔵大学大学院博士後期課程在学中。日本学術振興会特別研究員。「古代歌謡が語る雄略の時代 ―『天語歌』を中心とした景行の時代との関連―」(『国語と国文学』第90巻第7号、2013年7月)

遠藤集子(えんどう しゅうこ)
1985年福島生まれ。明治大学大学院博士後期課程退学。団体職員。
「『歌謡』と『和歌』研究史」(『古代歌謡とはなにか』)笠間書院、2015年)

倉住薫(くらずみ かおる)
1978年福岡生まれ。國學院大學大学院博士課程修了。博士(文学)。大妻女子大学専任講師。『柿本人麻呂―ことばとこころの探求―』(笠間書院、2011年)、「初期万葉一〇一・一〇二番歌の解釈―実ならぬ「玉葛」という景―」(『大妻国文』第42号、2011年3月)

近藤信義(こんどう のぶよし)  
1938年東京生まれ。國學院大學大学院博士課程修了。博士(文学)。立正大学名誉教授。『枕詞論―古層と伝承―』(おうふう、1990年)『音喩論―古代和歌の表現と技法―』(おうふう、1997年)

坂根誠(さかね まこと)
1979年埼玉生まれ。國學院大學大学院博士課程後期満期退学。浦和学院高等学校非常勤講師。「『古事記』八咫烏の先導段における発話文」(『古事記年報』第53号、2011年1月)、「『古事記』国譲り段冒頭部の解釈―「言因賜而」の訓読を中心として―」(『古事記年報』第50号、2008年1月)

島村幸一(しまむら こういち)
1954年神奈川生まれ。法政大学大学院人文科学研究科修士課程修了。博士(文学)。立正大学文学部教授。『「おもろさうし」と琉球文学』(笠間書院、2010年)、『コレクション日本歌人選 おもろさうし』(笠間書院、2012年)

鈴木崇大(すずき たかお)
1977年福島生まれ。東京大学大学院博士後期課程在学中。「山部赤人の神亀三年印南野行幸従駕歌」(『東京大学国文学論集』第9号、2014年3月)

関口一十三(せきぐち ひとみ)
1979年栃木生まれ。武蔵大学大学院博士後期課程単位取得退学。博士(人文学)。埼玉県立浦和工業高等学校教諭。「日本霊異記の優婆塞像」(『上代文学』98号、2007年4月)「大祓の詞の成立―日本古代の薬師経受容をめぐって―」(山口敦史編『聖典と注釈―仏典注釈から見る古代』武蔵野書院、2011年)

高桑枝実子(たかくわ えみこ)
1972年千葉生まれ。東京大学大学院博士課程修了。博士(文学)。武蔵大学・聖心女子大学非常勤講師。「有間皇子自傷歌群の示すもの―挽歌冒頭歌とされた意味―」(『上代文学』第83号、1999年11月)、「憶良『日本挽歌』の表現―『石木をも 問ひ放け知らず』をめぐって―」(『国語と国文学』第88巻第7号、2011年7月)

田中美幸(たなか みゆき)
1982年東京生まれ。明治大学大学院博士後期課程在学中。「大伴家持の『すめかみ』―大伴池主の表現との比較から」(『明治大学大学院文学研究論集』第35号、2011年10月)

綱川恵美(つなかわ えみ)
1988年栃木生まれ。立正大学大学院博士後期課程在学中。「〈日記〉史料からみる渡唐儀礼」(島村幸一編著『琉球―交叉する歴史と文化―』勉誠出版、2014年)

森朝男(もり あさお)
1940年東京生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。フェリス女学院大学名誉教授。『古代和歌の成立』(勉誠社、1993年)。『恋と禁忌の古代文芸史』(若草書房、2002年)

山口直美(やまぐち なおみ)
1983年神奈川生まれ。明治大学大学院博士後期課程在学中。「当芸志美々命反乱物語―予見のモチーフを中心に―」(『文芸研究論集』第35号、2011年11月)

山崎健太(やまざき けんた)
1983年秋田生まれ。東京大学大学院博士後期課程在学中。「笹葉に 打つやあられの―歌謡の担う叙事に関して―」(『国語と国文学』第90巻第5号、2013年5月)

横倉長恒(よこくら ながつね)
1945年会津生まれ。早稲田大学大学院博士課程満期退学。長野県短期大学名誉教授。早稲田大学エクステンションセンター非常勤講師。『古代文学私論』(武蔵野書院、1992年)、共著『初期万葉』「磐姫皇后歌」(早稲田大学出版部、1979年)


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