« 福島県立美術館「飛騨の円空 千光寺とその周辺の足跡」(2015年1月27日(火)~4月5日(日)) | メイン | 国立国会図書館、歴史的音源専用サイト(れきおん)の英語版を公開(カレントアウェアネス・ポータル) »

2015年1月21日

 記事のカテゴリー : 新刊案内

●池宮正治著作選集全3巻パンフレット公開、推薦文[古橋信孝(武蔵大学名誉教授)/狩俣恵一(沖縄国際大学副学長)/豊見山和行(琉球大学教授)] 全文公開

このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote Share on Tumblr LINEで送る

2015年2月20日発売の池宮正治著作選集全3巻のパンフレットを公開します。

ikemiya_k.jpg

■PDF
http://kasamashoin.jp/shoten/ikemiya.pdf

パンフレットの現物も送料無料でお送りいたします。[1月30日ころ発送いたします]
以下までご一報ください。

お待ちしております。

【連絡先】

〒101-0064
東京都千代田区猿楽町2-2-3
笠間書院 WEB編集部 
●メール
info@kasamashoin.co.jp

■全巻構成
池宮正治著・島村幸一編『池宮正治著作選集1 琉球文学総論』(笠間書院)

http://kasamashoin.jp/2014/11/1_29.html

池宮正治著・島村幸一編『池宮正治著作選集2 琉球芸能総論』(笠間書院)
http://kasamashoin.jp/2014/11/2_28.html

池宮正治著・島村幸一編『池宮正治著作選集3 琉球史文化論』(笠間書院)
http://kasamashoin.jp/2014/11/3_31.html

■推薦文

◆池宮正治著作選集1
今後の『おもろさうし』の研究はここから始まる

古橋信孝(武蔵大学名誉教授)

 琉球は日本語文化圏にある。しかし大和朝廷以来の歴史において、薩摩による琉球支配を除けば、日本に組み込まれたのは近代からだった。琉球は古代、中世と独自の文化を形成していったのである。

 本巻の中心に据えられている『おもろさうし』はその独自に展開した日本語の文学の、日本とは異なるさまをみせてくれている。それは日本語の文学の別の可能性を思わせるにじゅうぶんだ。

 池宮正治氏の「おもろ」論の全貌がここに納められているが、氏の探求は、従来しばしば琉球文学が古代日本の文学に比定されてきたようなものとは異なっている。氏の資料を科学的にみることが必然的に導いたことだ。いうならば氏は歴史化する目をもっていた。

 そこにみえてくる『おもろさうし』の歌は古代のものというより、民間に伝承されてきた古謡とは異なるきわめて特殊な宮廷の歌謡である。しかも「おもろ」は古くは「御唄」と記されており、「神歌」と記されるのは一七〇〇年以降という。われわれが一般的な概念としている「うた」という言い方はむしろ特殊なものかもしれないわけだ。

 今後の『おもろさうし』の研究はここから始まる以外考えられない。それは「おもろ」論だけでなく、琉球の文学全体にも展開していくだろうし、また日本語の文学へ新たな視角を与えてくれるに違いない。


◆池宮正治著作選集2
新見に満ちた本格的な琉球芸能論

狩俣恵一(沖縄国際大学副学長)

 琉球・沖縄の芸能は、①王府の「御冠船踊り」の芸能、②村々の民俗芸能、③琉球王国消滅(一八七九年)後、那覇を中心に営業した沖縄芝居の芸能に分けられる。そして、それらの舞台芸能は、琉球音階による三線と八八八六音の琉歌を基盤にした舞踊・組踊等であり、冊封使を歓待する「御冠船踊り」を中心に継承・展開してきた。

 おかげで沖縄は、古典芸能・民俗芸能・商業芸能と多様な芸能を継承してきたが、従来の琉球芸能の研究は、民俗学や文学論的な研究が多く、伝聞口承資料をそのまま記述する非科学的な芸能論が横行してきたように思える。

 本書では、「琉球芸能を御冠船芸能という以上は、王府資料を駆使することが捷径であるはずだ。」と著者の立場を明快に示し、「近世琉球には専用の劇場はなく、専門の俳優や芸能者もいなかった。組踊は当初から王府管掌の芸能として出発し、王府より任命された踊奉行という官僚が、作演出あるいは全体の制作をも兼務したのである。」という観点から、文献資料を駆使した新見に満ちた本格的な琉球芸能論を展開している。

 著者は、プロの芸能家不在の近世琉球社会を踏まえ、式楽としての「御冠船踊り」を中心に、中国・薩摩・徳川幕府との芸能交流を重層的に論述し、加えて「三線音楽論」「民俗芸能論」「近代演劇論」など多様な角度から琉球・沖縄の芸能を論じており、研究者のみならず、実演家や一般の読者にもお薦めしたい好著である。


◆池宮正治著作選集3
琉球文化史の豊穣な世界

豊見山和行(琉球大学教授)
                 
 戦前の伊波普猷による沖縄学の創設以来、琉球文学と琉球史は密接な関係にある。戦後、一九七二年の「日本復帰」前後に琉球史研究は大きな盛り上がりを見せ、今日に至っている。その牽引役は当時の沖縄歴史研究会に集う若手研究者たちであり、琉球文学の分野から文化史の刷新に大きく寄与してきたのが池宮正治氏である。

 池宮正治氏の研究は、『おもろさうし』や琉歌など琉球文学の基軸となる分野に止まらず、関連する芸能史や服飾史など広い意味での琉球文化史へ越境し、独自の文化史像を樹立した。例えば、『おもろさうし』や石碑文などの緻密な読解・解釈から導きだされた池宮氏の琉球王権論は、歴史学の側にも多大な影響を与えた。また、豊富な注釈を施した琉球古語辞典『混効験集』に関する研究は、難解な琉球語を理解する上で必須の研究書となっている。語彙や用語の正確な読解を土台として築きあげられた池宮氏の諸論考は、豊穣な琉球文化史像を私たちに提供してくれる。多彩な論考を収録した本著作選集は、琉球文化史を学ぶものにとっても座右の研究書となることは間違いない。


●グーグル提供広告