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2014年3月 4日

 記事のカテゴリー : 新刊案内

●縄手聖子『今様のなかの〈表象〉』(笠間書院)

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4月上旬刊行予定です。

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縄手聖子『今様のなかの〈表象〉』(笠間書院)
ISBN978-4-305-70721-5 C0092
A5判・上製・カバー装・258頁
定価:本体5,800円(税別)

当時の流行の最先端をことばにした、豊かなる歌謡『梁塵秘抄』が新たな世界を魅せる。

『梁塵秘抄』には、和歌、物語、説話などの文学、宗教、美術、風俗などの多角的な分野から織り成された文化や、古代の言説―中古を経て、院政期に至る時代の流れの中で醸成された意味―、そういったものが融合して重層的、多層的な世界が広がっている。
本書はそれらを、〈表象〉という視点から読み解いていく。論究は『いはでしのぶ』、『風に紅葉』といった中世王朝物語や、近世の『雨月物語』にも及ぶ。

【今様は、芸能者、庶民、武士などの下層の階級を中心にして興り、貴族階級を主体とした表現形態である和歌とは、根本的に性質が異なる。和歌があはれ、幽玄などの美意識、つまり文化の上澄みともいえるものを表現していたのに対し、今様は、沈殿していた当時の集団の持つ無意識の流れ、つまり歴史の底に流れる意識をも掬い取っている。この歴史の底流にある集団的意識が、表層的に信仰、風俗、文芸、そして言葉の流行性として、今様に表れていよう。そのような今様を集めたのが、『梁塵秘抄』なのである。
 筆者の研究の目的は、今様を読み解くことによって、基底に流れている集団的無意識を探っていくことにある。......本書「はじめに」より】

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著者紹介
縄手聖子(なわて・せいこ)Nawate Seiko

1981年生。2013年、フェリス女学院大学人文科学研究科日本文学専攻博士後期課程修了。2013年、博士(文学)。
主要論文に、「中世における「美女」と今様―『梁塵秘抄』三四二番歌を視座として―」(『日本歌謡研究』第53号、2013年12月)、「『梁塵秘抄』三一六番歌における「岩屋」」(『梁塵―研究と資料―』第29号、2012年12月)、「遊ぶ鶴亀と「太子」の王権と礼楽―『梁塵秘抄』三一九番の歌「太子を迎へて遊ばばや」について―」(『日本文学』第60巻第9号、2011年9月)等がある。
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■ご予約・ご注文は版元ドットコムで
http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-305-70721-5.html
または、直接小社まで、メールでinfo@kasamashoin.co.jpご連絡いただいても構いません。またはこちらのフォームで、購入希望としてご連絡ください(書名・冊数・お名前・ご住所・電話番号を明記してください)。
http://kasamashoin.jp/mailform.html
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【目次】

 はじめに
 凡例
 
第一章 祝言歌謡の今様―祝いの歌語と文化
 第一節 『梁塵秘抄』三一六番歌における「岩屋」

  一 はじめに
  二 大嘗会和歌に詠まれる「岩屋」
  三 和歌における「巌」
  四 神仙の住処としての岩屋
  五 修験者と神仙境としての「岩屋」の世界
  六 まとめ
 【補節】 三一六番歌「泉の深ければ」小考
  一 はじめに
  二 水の深さと寿ぎ
  三 納涼の景としての泉
  四 「湧く」「出づる」泉と祝言性
 第二節 遊ぶ鶴亀と「太子」の王権と礼楽―「太子を迎へて遊ばばや」について―
  一 はじめに
  二 遊ぶ鶴亀と王権への寿ぎ
  三 州浜で描かれる鶴亀の祝いと神仙思想
  四 「太子を迎へて遊ばばや」と礼楽・王権

第二章 女性をうたう今様―逸脱性を持つ女たち
 第一節 「子産まぬ式部」について

  一 はじめに
  二 「野中の堂」に住む鬼女
  三 「心澄む」と「神さび」
  四 まとめ
 第二節 誘う女の〈神婚伝承〉
  一 はじめに
  二 三輪山の歌前史
  三 禁忌の恋
  四 神婚伝承から人間の恋歌への変遷
  五 春の焼野で誘う女
  六 聖と恋の禁忌
 第三節 呪う女―恋の恨みと呪詛、三本角の鬼
  一 はじめに
  二 呪詛する女の歌
  三 三本角の鬼と女
  四 まとめ

第三章 「美女」の今様―何故、「美女」は魅力的か
 第一節 中世における「美女」と今様―三四二番歌を視座として

  一 はじめに
  二 美しい女としての「美女」
  三 中世の「美女」
  四 今様の担い手としての「美女」
 第二節 越境者としての翁―翁の性愛と寿ぎ、笑い
  一 はじめに
  二 神としての翁
  三 和歌における翁の恋
  四 翁の恋と性愛
  五 越境者としての翁と芸能

第四章 物語の中の表象―中世王朝物語と近世の物語
 第一節 『いはでしのぶ』における物尽し―王朝なるものへの回帰方法として

  一 はじめに
  二 女一品宮と月が持つ王権の比喩
  三 月の物尽し
  四 物尽しがもたらしたもの
 第二節 『風に紅葉』の道行文―和歌の表現から読み解く
  一 はじめに
  二 道行文と歌語が持つイメージ
  三 道行文が引き寄せる和歌のイメージ
  四 『風に紅葉』の道行文の役目
 第三節 鹿角の蛇―神話的イメージの継承と創造
  一 はじめに
  二 古代における角の生えた蛇と鹿の同一性
  三 中世から「蛇性の婬」までの水神の受容
  四 鹿が流す血と真女子の文言

 初出一覧
 あとがき
 索引


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