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2013年10月 7日

 記事のカテゴリー : 新刊案内

●島内景二・三枝昻之[著]群馬県立土屋文明記念文学館[編]『響き合う うたと人形 「三十六歌人」でたどる短歌の歴史』(笠間書院)

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11月上旬の刊行予定です。

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島内景二・三枝昻之[著]
群馬県立土屋文明記念文学館[編]
『響き合う うたと人形 「三十六歌人」でたどる短歌の歴史』(笠間書院)
ISBN978-4-305-70717-8 C0095
定価:本体1,000円(税別)
A5判・並製・96頁

きっと歌が好きになる、短歌入門書。
島内景二が、土屋文明記念文学館に展示してある、36人の歌人人形からインスピレーションを得て、36首の歌に解説を加えたものを中心に、三枝昻之のエッセイも収録。
「知っておきたい歌の歴史」として、日本の歌の歴史も概観できるようにした、短歌入門書です。

もっと歌を知りたくなる、自分で歌を詠みたくなる、そんな本です。

歌というタイムマシーンに乗って、さあ出かけよう。
感動、勇気、命。「人生」のすべてが体験できる旅へ!

【歌という万能の乗物に乗れば、私たちは平安時代にも鎌倉時代へも旅して、いつの世にも変わらない人間の営みに触れることができる。心をわくわくさせる恋も、はるか遠いところへの旅も、日々の生活を彩る四季折々の美しい自然も、歌という乗物の窓から、パノラマのように眺められる。......島内景二「歌というタイムマシーンに乗って」より】

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【著者略歴】
三枝昻之(さいぐさ・たかゆき)

歌人、山梨県立文学館館長、歌誌『りとむ』発行人、宮中歌会始選者。
1944年山梨県生まれ。窪田空穂門下の歌人・三枝清浩の四男として生まれ、早稲田大学入学後「早稲田短歌会」で活動。1968年早稲田大学政治経済学部卒業。
歌集に『水の覇権』、(現代歌人協会賞)、『農鳥』(若山牧水賞)、『世界をのぞむ家』、『上限下弦』など。歌論書に『うたの水脈』、『前川佐美雄』、『啄木――ふるさとの歌遠みかも』(現代短歌大賞)など。2005年の『昭和短歌の精神史』で芸術選奨文部科学大臣賞など多くの賞を受賞。2011年紫綬褒章。

島内景二(しまうち・けいじ)
日本文学研究者、文芸評論家、電気通信大学教授。
1955年長崎県生まれ。東京大学法学部に在学中、源氏物語と現代短歌の魅力に目覚めて文学部国文学科に転進。1984年同大学院博士課程単位取得満期退学。2001年『源氏物語の影響史』で東京大学から博士(文学)取得。
短歌を塚本邦雄(1920-2005)に師事し、歌集に『夢の遺伝子』がある。『塚本邦雄(コレクション日本歌人選019)』(2011年、笠間書院)、『心訳『鳥の空音』:元禄の女性思想家、飯塚染子、禅に挑む』(2013年、笠間書院)など著書多数。

中田宏明(なかだ・ひろあき)
群馬県立土屋文明記念文学館主任(学芸員)。
1974年神奈川県生まれ。2002年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程(美術史学)中退。現在の主な研究対象は日本の近現代美術史・短歌史。

群馬県立土屋文明記念文学館(ぐんまけんりつつちやぶんめいきねんかん)
 群馬県立土屋文明記念文学館は、群馬ゆかりの文学を中心として扱う県立の文学館として、1996年に開館しました。年間4回の企画展をはじめ、講演会、講座など、多彩な教育普及事業を展開しています。
 常設展示室では、文化勲章も受章した日本を代表する歌人・土屋文明(1890〜1990)の生涯と作品を「土屋文明―ひとすじの道―」として紹介し、「短歌の世界」コーナーでは『万葉集』から現代までの短歌・和歌に関する資料を展示しています。
〒370-3533 群馬県高崎市保渡田町2000 Tel 027-373-7721 Fax 027-373-7725
http://www.bungaku.pref.gunma.jp/

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■ご予約・ご注文は版元ドットコムで
http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-305-70717-8.html
または、直接小社まで、メールで info@kasamashoin.co.jp ご連絡いただいても構いません。またはこちらのフォームで、購入希望としてご連絡ください(書名・冊数・お名前・ご住所・電話番号を明記してください)。
http://kasamashoin.jp/mailform.html
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【目次】

はじめに●篠木れい子
【巻頭エッセイ】永遠の榛名―土屋文明に思うこと●三枝昻之

鑑賞編 ▼「三十六歌人」人形と歌の魅力●島内景二
歌というタイムマシーンに乗って―三十六歌人に寄せて

▼『万葉集』に取られた飛鳥・奈良時代の歌[古代(上代)]
 1 額田王   【風が、あなただったら】
 2 柿本人麿  【また逢える日が、あってほしい】
 3 持統天皇  【夏は来ぬ】
 4 山部赤人  【スミレの花のベッドで】
 5 山上憶良  【あの空が飛べたら】
 6 大伴旅人  【酒を飲まずに、いられるか】
 7 大伴家持  【春のアンニュイ】

▼『古今和歌集』などに取られた平安時代の歌[古代(中古)]
 8 小野小町  【鏡よ、鏡】
 9 在原業平  【花よ、時間を止めてくれ】
 10 紀貫之   【去りゆく美しい旅人】
 11 紀友則   【この花を、あなたにあげよう】
 12 和泉式部  【黒髪は情熱の炎】
 13 藤原敏行  【風の歌を聞こうよ】

▼『新古今和歌集』などに取られた平安・鎌倉時代の歌[中世]
 14 藤原俊成  【最後は、涙で終わりたくない】
 15 俊成卿女  【夢の続き】
 16 寂蓮    【秋は、夕暮】
 17 式子内親王 【忍ぶ恋は命がけ】
 18 藤原定家  【こんな恋をしたかった】
 19 後鳥羽院  【正義を見せてやる】
 20 西行    【花と共に散りぬ】
 21 源実朝   【海を見ていた青年】

▼江戸時代の歌[近世]
 22 良寛    【鉢の子よ、おまえは今どこに】

▼明治時代以降の歌[近代]
 23 正岡子規  【あの星が私だ】
 24 与謝野晶子 【どうよ、この髪、この私】
 25 若山牧水  【あの鳥は、私だろうか】
 26 石川啄木  【才能のある俺が、なぜ】
 27 北原白秋  【純愛と罪は、リンゴの香り】
 28 伊藤左千夫 【命のゆくえ】
 29 長塚節   【病室の慰めは、花と恋】
 30 前田夕暮  【ヒマワリのように激しく】
 31 島木赤彦  【燃える心と、凍りつく心】
 32 木下利玄  【子どもは風の子、蜜柑の子】
 33 会津八一  【寂しさを知る人であれ】
 34 釈迢空   【山奥での神秘体験】
 35 斎藤茂吉  【人生の逆境と真向かう】
 36 宮柊二   【冬の響きを愛して】

解説編▼知っておきたい歌の歴史
 1 記紀歌謡から『万葉集』へ―古代の和歌―●島内景二
 2 勅撰和歌集と私家集―中古・中世の和歌―●島内景二
 3 群馬県立土屋文明記念文学館「短歌の世界」コーナー●中田宏明
 4 近代における「旧派」●中田宏明
 5 「短歌」の百年―〈私〉をめぐるこころざし●三枝昻之

群馬県立土屋文明記念文学館ごあんない

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歌というタイムマシーン乗って―三十六歌人に寄せて
●島内景二

 ここに並んだ三十六個の人形は、わが国の誇る三十六人の歌人のメッセージを現代人に伝えるために制作されている。

 全体が丸い竹筒のような形で配列されているのは、『竹取物語』のかぐや姫が、竹の筒から発見された時の感動と驚きを、見る人に思い起こさせるためである。かぐや姫は、竹の筒という乗物に乗って、月の世界から地上に旅してきた。だから、竹筒をイメージした空間に配列された三十六個の人形は、月の世界ならぬ歌の世界から地上に派遣され、人一倍の苦しみを乗り越え、人々の心を慰める歌を残して戻っていった仙人たちなのだ。歌の名人を「歌仙」と言うのも、うなずける。

 あるいは、ここは三十六本の竹が生えている「歌の林」だとも言える。三十六本の竹の幹は、天を指して伸びる。喜びや悲しみを感じるたびに、竹の葉がそよぐ。その響きこそ、歌に込められたメッセージである。その音を、ぜひとも聞き取ってほしい。

 耳を傾けるだけでなく、この人形たちの表情や背景を、よく見てほしい。彼らは、私たちがふだん忘れている大切なことを、静かに、けれども雄弁に語りかけてくる。恋の悩みや人間関係の苦しみを彼らが歌で語りかける時、奈良時代の女性歌人も近代の男性歌人も、現代人が直面している困難な課題に立ち向かう勇気を与えてくれる。だから、この竹筒の形をした空間は、タイムマシーンでもあるのだ。

 歌という万能の乗物に乗れば、私たちは平安時代にも鎌倉時代へも旅して、いつの世にも変わらない人間の営みに触れることができる。心をわくわくさせる恋も、はるか遠いところへの旅も、日々の生活を彩る四季折々の美しい自然も、歌という乗物の窓から、パノラマのように眺められる。

 歌の乗物は、誕生から死までの「人生」のすべてを、乗っている人たちに体験させてくれる。だから、この竹筒の形をした空間は、人間の命に触れる劇場でもある。役者である三十六個の人形たちの言葉に、耳を澄まそう。この劇場から外に出た時、あなたは大切な宝物をお土産としてもらっているはずだ。

 感動。勇気。そして、命。あなたは、自分の心の中からあふれ出ようとする思いに言葉を与えて、自分でも歌を詠みたいと願うだろう。その時、歌という乗物の運転手に、あなたは変身している。その乗物に乗車してくるのは、あなたの身の周りの大切な人たちだ。

 さあ、歌というタイムマシーンに乗って、あなたも三十六通りの美しい旅に出よう。


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