笠嶋忠幸『日本美術における「書」の造形史』(笠間書院)

10月下旬の刊行予定です。
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笠嶋忠幸『日本美術における「書」の造形史』(笠間書院)
ISBN978-4-305-70709-3 C0070
定価:本体2,800円(税別)
B5判変型・上製・カバー装・340頁(口絵12頁)
日本の「書」の新たな歴史がはじまる。
日本美術史上に取り上げられてきた
「書」作品を例題に、その造形を分析。
そこに見られる工夫や表現、その意識、
書き手の創意のあり方を具体的に考察。
今までにない新たな視点で「書」の歴史を提示する。
図版約200点掲載!
【これから本書が語り出そうとしている「書」の世界は、恣意的で、とても奇妙なものと読者の眼に映るかもしれない。現代に至る道程の中で、拡大と縮小とを何度も繰り返してきた書の歴史は、従来まるで気難しい老教師が流暢に語る蘊蓄方の講義録のように語られてきたためか、実に難解なものという印象を伴ってきたようだが、本書ではそれを主眼としたくはない。それよりも「書」の造形的特質をもっと具体的に、もっと精緻で機敏な眼差しで捉えたい。何が何故、そのような造形となってそこに表わされているのかをあらゆる角度から検証してみたい……このような率直な想いからはじめた小さな研究成果のスクラップブックが本書の実情である。】……序章より
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【著者紹介】
笠嶋忠幸(かさしま・ただゆき)
昭和四十一年(一九六六)、福井県生まれ。東京学芸大学教育学部特別教員養成課程(書道)卒。
学習院大学大学院人文科学研究科博士前期課程(美学美術史)修了。博士(美術史学)。
現在、公益財団法人 出光美術館学芸課長代理。このほか、学習院大学、千葉大学、明治学院大学などで講師をつとめる。
著書に、『鉄斎「富士山図」の謎』(学生社、二〇〇四年)、『書を味わう 鑑賞の手引きとくずし字解』(淡交社、二〇一〇年) 。
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【目次】

口絵
序 章 「書」の世界をめぐる本書の視座

第一章 書法の継承と創意の芽生え

 一 虚構の世界の能書観
 二 自筆の価値と能書の活動
 三 中国書法の受容と和様への変容
 四 道風時代の造形意識と創意

第二章 平安時代の仮名古筆における表象的特質と諸問題
    ―「高野切」を中心とした研究およびその周辺

 一 「高野切」の伝来と研究史
 二 「高野切第一種」の特質
 三 三種類の書風に共通する様式的特徴について
 四 筆跡の近似性をどのように判断するか

第三章 文字造形の変容とその意味
    ―「信貴山縁起絵巻」詞書に関する考察

 一 「異文」の発生について
 二 「信貴山縁起絵巻」の概要と、詞書「やまと」の文字の再検討
 三 「やまと」に関わる研究史と問題点
 四 「やまと」の改変と制作地問題
 五 詞書の書風について
第四章 書表現にみる造形意識と遊戯性
 一 上代の文字表現における造形意識
 二 書表現の中の制作意識と空海説話
 三 中世における書表現の遊戯性について
第五章 散らし書き表現の展開
 一 行書きと散らし書き
 二 三色紙の特質
  1.「継色紙」  2.「弁色紙」  3.「寸松庵色紙」
 三 散らし書きの伝統と型
 四 散らし書きのダイナミズム
第六章 近世における能書活動と制作意識–烏丸光廣をめぐって
 一 烏丸光廣の書風に関する認識
 二 書風の変遷について
 三 光廣の能書活動を取り巻く環境
 四 俊成、西行の書風の受容と書き分けについて
 五 伊勢物語絵と光廣
 六 光廣と宗達「伊勢物語図色紙」
第七章 書と水墨表現
    ―一九五〇年代の思索と絵画的表現の受容

 一 鈴木大拙と禅図
 二 現代書の最前線と一九五二年の『墨美』
 三 抽象表現への思索−仙厓「○△□」と手島右卿「吟月」
 四 墨蹟への憧憬−豪潮の淡墨表現を手がかりに
 五 書作における引用と編集
 六 水墨表現との融合−「象書」の実像
 七 墨蹟の評価を支えた背景
終 章 日本美術の研究における「書」の位置
あとがき
初出一覧
図版リスト