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2013年8月 9日

 記事のカテゴリー : いただいた本・送られてきた本

●日向一雅・木下綾子『源氏物語についての近世儒教言説資料集 [付]著者名・資料名総覧(年代順)/著者名索引/資料名索引』(古代学研究所紀要 第19号)

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木下綾子氏より頂きました。

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日向一雅・木下綾子
『源氏物語についての近世儒教言説資料集 [付]著者名・資料名総覧(年代順)/著者名索引/資料名索引』
(古代学研究所紀要 第19号)の抜刷CD
A5判・143頁

この資料集は、「明治大学古代学研究所 文部科学省私立大学戦略的研究基盤形事業 日本列島の文明化を究明する古代学の総合化研究」の成果によるものです。

本資料をご入り用の方は、執筆者の木下綾子氏までご一報ください、とのこと。
アドレスは genji.kinseijukyo@gmail.com です。

本資料集の性格を明らかにしておくために、以下にまえがきに相当する部分と、凡例を抜粋しておきます。

【 本資料集は源氏物語についての近世における儒教的な批評言説を儒者、国学者を問わず、できるだけ幅広く収集しようとしたものである。近世の源氏物語論としては本居宣長の「もののあはれ」の説が有名であるが、しかし、それが近世における源氏物語論の主流ではなかったことは、萩原広道『源氏物語評釈』を見てもわかる。むしろ源氏物語の読み方、受容の仕方は多かれ少なかれ儒教的な意味合いに傾斜していたと見られる。その実態を具体的に確認し展望してみようというのが本調査の目的である。

 儒教的注釈言説は中世古注釈書『河海抄』にみごとに集成されたが、その基になったものは『原中最秘抄』『光源氏物語抄』(『異本紫明抄』)『紫明抄』などであった。そうした注釈の中世における最後にして最大の集成が『岷江入楚』である。それらの注釈を近世の注釈と比べると、大きく変化した点がある。たとえば中世古注釈書では『河海抄』以下『岷江入楚』まで周公旦や『尚書』(『書経』)を積極的に引用していたが、契沖『源注拾遺』ではまったく触れられず、賀茂真淵『源氏物語新釈』は「賢木」巻と「明石」巻で周公旦に触れるが、『尚書』の名前は出てこない。本居宣長『源氏物語玉の小櫛』は「賢木」巻で一度周公旦にふれるだけである。周公旦や『尚書』は近世国学者の注釈からは消えたも同然の扱いになった。これは源氏物語の読み方が大きく変わったことを示すものにほかならない。なぜそのような変化が起きたのか。そうした変化の背景には何があったのか。

 源氏物語に対する儒教的批評言説といっても中世と近世とではそうした違いが明瞭なのであり、その違いには源氏物語が吸引する時代の思潮とでもいうべきものが反映していると思われる。そうしたことを考える上でも本資料集は役立つであろうと思う。

 なお本資料集では上記の『源注拾遺』『源氏物語新釈』『玉の小櫛』『源氏物語評釈』の他、近世における儒教的言説の代表である熊澤蕃山『源氏外伝』、安藤為章『紫家七論』は入手しやすいので除外した。また本資料集は木下綾子氏の単独の労作であることも付記しておく。(日向)

【凡例】
一 近世における『源氏物語』についての言及で、儒教思想にもとづくものを集め、成立年や刊行年の順に整理した。
一 儒学者や文人の記した資料は、漢詩も含め、すべて取り上げた。
一 『源氏物語』の注釈書や評論として一作品をなすものは、書名のみ掲げた。
一 本文の引用に際して、正字・異体字は、原則として通行の字体に直した。固有名詞については、直さなかったものがある。
一 漢詩には句点を付した。読点のみの資料については、句点に統一した。
一 文中の注は〈 〉で括った。
一 引用には、当該項目の関連部分のみを抜粋したものがある。その場合は、項目名や項目名をあらわす○の後に〈抄〉と記した[......]は省略を示す。また、引用が長いもので、関連部分が明確なものには、傍線を付した。
一 作品の成立年・刊行年については、使用テキストの解説や、『日本古典文学大辞典』(岩波書店、一九八三〜一九八六年)、国文学研究資料館電子資料館「日本古典籍総合目録」(http://base1.nijl.ac.jp/̃tkoten/about.html)、伊井春樹(編)『源氏物語注釈書・享受史事典』(東京堂出版、二〇〇一年)を参照した。】


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