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2013年6月 6日

 記事のカテゴリー : 新刊案内

●説話文学会編『説話から世界をどう解き明かすのか 説話文学会設立50周年記念シンポジウム[日本・韓国]の記録』(笠間書院)

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7月上旬の刊行予定です。

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説話文学会編
『説話から世界をどう解き明かすのか 
説話文学会設立50周年記念シンポジウム[日本・韓国]の記録』

ISBN978-4-305-70698-0 C0095
定価:本体2,800円(税別)
A5判・並製・カバー装・564頁

柳田國男、南方熊楠、高木敏雄、芳賀矢一らによる、
近代説話学の創始から、一〇〇年。
五〇年前に設立された説話文学会が、
日本のあり方にかかわるすべての領域に、
「説話」というキーワードで挑む。

何をどこまで明らかにしてきたのか。
これから何をしていくのか。総力を挙げて世に問う。

本書は、2012年6月に開催された説話文学会50周年記念大会、および、12月に韓国日語日文学会共催で行った説話文学会ソウル大会を収録。くわえて各方面から寄せられたエッセイ「説話文学会五〇周年に寄せて」から構成される。
今後の日本古典文学研究の未来が1冊にまとまったと言っても過言ではない。

【今、いずれの記録を読みかえしてみても、その折りの学会の雰囲気や熱気がまざまざと甦ってくる。参加されなかった方々にもその臨場感はある程度体感していただけるのではないかと思う。ここで議論されたことどもは、もはやかつての国文学内の説話文学ジャンルの域をはるかに超え出て、人文学総体にかかわる、あらゆる問題群が俎上に載せられたといってよい程で、今日の研究状況で最も説話が活況を呈していることをあらためて浮き彫りにしたといえる。説話という器があらゆる領域の問題群を呼び寄せ、引きよせ、包含し、呑み込む巨大な坩堝と化している、そんな思いにひたることができる。まさに説話の宇宙の体現であり、さまざまな人が集い、自在に行き交う知と学の広場が開かれたという感慨を禁じ得ない。

 シンポジウムのまとめで述べたことだが、奇しくも近代の説話研究が勃興してからちょうど百年に当たる。説話研究は一世紀の歩みを経て、今日にまで至った。本書が今後さらなる学の進展に寄与しうることを念じてやまない。明日を担う志学の若い人たちにとってこの上ない道しるべとなれば幸いである。説話研究のさらなる五十年後、百年後を信じて―。】......序―説話研究の世紀(小峯和明[説話文学会 五十周年記念事業委員会代表])より

【総じて、作者論・作品論・主題論・ジャンル論というのがほぼ崩壊して、それらを解体し、中央と地域を相対化する日本的な視野をもって、さらにアジアという大きな視野へ問題を投げ入れて、そして、そこからまた戻って捉え直す、という複眼的な眼と方法と実践がいよいよ必要になってきたな、と思いました。国文学は、歴史、思想史、宗教史、絵画史、民俗・伝承などとの関連なしに存在しえないようです。今回のシンポジウムでそういうことを痛切に学びました。】......本書・錦仁氏発言より

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【編者紹介】
説話文学会
1962年創設。2012年に設立50周年を迎えた学会。近年は例会を年3回、大会を年1回開催している。学会誌『説話文学研究』を年1回刊行。
http://www.setsuwa.org/
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■ご予約・ご注文は版元ドットコムで
http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-305-70698-0.html
または、直接小社まで、メ―ルで info@kasamashoin.co.jp ご連絡いただいても構いません。またはこちらのフォ―ムで、購入希望としてご連絡ください(書名・冊数・お名前・ご住所・電話番号を明記してください)。
http://kasamashoin.jp/mailform.html
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【目次】

序―説話研究の世紀[小峯和明(記念事業委員会代表)]

Ⅰ 説話文学会50周年記念大会の記録

五十周年記念シンポジウムに寄せて[記念事業委員会]
「説話文学」研究から「説話」研究へ―代表挨拶に代えて [林雅彦(説話文学会代表)]

●基調講演
『黄金伝説』と世界文学としての説話集[ハルオ・シラネ]

二系統の日本古典文学/Deep Comparison(深層比較)と世界文学の問題/多数の異本 vs. 少数の異本/注釈としての説話/『イーリアス』 とアーサー王伝説/聖書と『黄金伝説』/高僧伝・往生伝・寺社縁起/『サントスの御作業』/視覚芸術の役割/『黄金伝説』とルネサンス/結論

●第一セッション 説話とメディア―媒介と作用―
[司会]石川透・竹村信治

メディアとしての文字と説話文学史―矜恃する和語[荒木 浩]
一 説話文学会五十周年と益田勝実/二 『今昔物語集』仏伝の意義/三 「和文化資料」のみが伝える釈迦最後のコトバ/四 矜恃する和語/五 復古する和語の「物語」

中世メディアとしての融通念仏縁起絵巻[阿部美香]
はじめに/一 正和本の創出/二 永徳至徳勧進本の展開/三 明徳版本の飛躍/四 清凉寺本縁起絵巻の達成/おわりに

バーチャル・メディアとしての六道絵[鷹巣 純]
一 地獄絵・六道絵の画面構成/二 説話図像の機能/三 空間の中での六道絵・十王図

□質疑応答
楊暁捷氏コメント/藤原重雄氏コメント/ほか

●第二セッション 
説話と資料学、学問注釈―敦煌・南都・神祇―

[司会]近本謙介・千本英史

敦煌本『仏説諸経雑縁喩因由記』の内容と唱導の展開[荒見泰史]
一 前言/二 『仏説諸経雑縁喩因由記』の内容/三 『仏説諸経雑縁喩因由記』の語彙、語法/四 小結

中世南都の経蔵と新渡聖教[横内裕人]
はじめに/一 南都の経蔵の特質/二 アジアに開かれた南都/三 新渡聖教とその受容

中世の神祇・神道説と東アジア[舩田淳一]
はじめに/一 南都仏教復興運動における神祇と宋文化―重源・貞慶・律衆―/二 「葛城山=金剛山」説と東アジアの霊山信仰―中世神道書『大和葛城宝山記』成立の道程―/三 東アジアにおける〈唯心思想〉の展開と神祇・神道説/おわりに

□質疑応答
スティーヴン・G・ネルソン氏コメント「音楽を書き記すこと」/本井牧子氏コメント(一 敦煌写本と日本古写本/二 唱導の「底本」と「因縁集」/三 朝鮮半島における仏典刊行と唱導)/近本謙介氏コメント「入宋僧を介した典籍の伝播と文芸の展開」/ほか

●第三セッション 
説話と地域、歴史叙述―転換期の言説と社会―
[司会]小峯和明・鈴木彰

水の神の変貌[黒田 智]
はじめに/一 勝軍地蔵信仰の歴史/二 矢取地蔵というスケープゴート―受苦・贖罪としての「矢負い」―/三 水争いと軍神/四 水の神としての勝軍地蔵/五 水の神から軍神、火伏せの神へ

『天正記』の機構と十六世紀末の文化・社会の動態[佐倉由泰]
一 問題の所在/二 交通、流通の広域化、活性化のための戦い/三 繁栄と無常/四 意味を生成する時間/五 境界なき空間/六 本地物への接近/七 おわりに

信仰譚・奇跡譚からみたキリシタン信仰[神田千里]
はじめに/一 十字架にみるキリシタン信仰/二 臨終を迎えるキリシタン/三 「悪魔」と狐/四 「純朴」な師匠

□質疑応答
樋口大祐氏コメント/張龍妹氏コメント/ほか

Ⅱ 説話文学会五〇周年に寄せて【エッセイ】

●益田勝実先生のこと―説話文学会五〇周年を寿ぐ[土方洋一]
●説話文学研究者への注文―お笑い好きな仏典電子化担当者の立場から[石井公成]
●版本/検索/東アジア―説話研究への提言[染谷智幸]
和歌を超えて、時代を超えて[錦 仁]
●聖教に関連する文学研究の今後に向けて[ブライアン・ルパート]
人文学アーカイヴス・リサーチ・ネットワーク構想の夢[阿部泰郎]

Ⅲ 説話文学会ソウル例会[2012年12月例会]の記録(韓国日語日文学会共催)

●【全体シンポジウム】 
古典の翻訳と再創造―東アジアの今昔物語集

[司会]文明載・千本英史

趣意文[小峯和明]

古典の翻訳と再創造―東アジアの『今昔物語集』―[小峯和明]
一 世界で訳される『今昔物語集』/二 翻訳から浮かび上がる研究・解釈の問題/三 イメージの翻訳へ/四 翻訳文学としての『今昔物語集』―翻訳の現場/五 翻訳の具体相―〈漢〉と〈和〉の交差/六 南方熊楠の書き込みメモからモチーフの翻訳へ ―中国類書・志怪小説との比較研究へ/七 東アジアの共通語としての「説話」

中国における日本古典文学の翻訳と研究―『今昔物語集』を中心に―[張龍妹]
一 中国における日本古典文学の翻訳/二 『今昔』翻訳に見られる中日の文化的相違/三 仏教用語としての「聖」と「仙」/四 翻訳による古典研究の落とし穴

ベトナムにおける日本文学の翻訳・出版・研究―『今昔物語集』を中心に―[グエン・ティ・オワイン]
はじめに/一 ベトナムにおける日本文学の翻訳・出版について/二 ベトナムにおける日本文学研究について/三 『今昔物語集』の翻訳について/終わりに

韓国における日本古典文学の翻訳の問題をめぐって―『今昔物語集』を中心に―[李市埈]
一 韓国における日本古典文学の翻訳の現況/二 翻訳の問題(一)―日本語に対するハングル表記を中心に―/三 翻訳の問題(二)―日本の「鬼」と「もののけ」の翻訳を中心に―/四 『今昔物語集』の翻訳の意義―韓国の説話分類を中心に―/五 おわりに

□質疑応答
金忠永氏コメント/李龍美氏コメント/ほか

●ラウンドテーブル 日韓比較研究の諸問題
[司会]竹村信治

日韓比較研究の諸問題[松本真輔]

1 比較研究の手法と資料の問題/2 『三国遺事』と比較研究/3 寺刹縁起の比較研究/最後に

日韓比較文学研究から東アジア文学研究へ[染谷智幸]
1 朝鮮の不在/2 四大奇書の影響を受けた代表的な東アジア文学作品/3 『棠陰比事』の影響を受けた代表的な東アジア文学作品(裁判[公案]説話、比事物、訟事[송사]小説)

東アジア物語文学の比較・対照研究[金鍾徳]

東アジア比較説話学の形成と民俗学[増尾伸一郎]
1 崔仁鶴『韓国昔話の研究』(弘文堂)の研究史の整理/2 高木敏雄の「驢馬の耳」「日韓共通の民間説話」からわかること/3 高木敏雄と南方熊楠/4 孫晋泰『朝鮮民譚集』と柳田國男
□質疑応答

付録●説話文学会 大会・例会の記録

・説話文学会 事務局一覧
・説話文学会 委員一覧

あとがき 鈴木 彰[説話文学会事務局]