梶川信行『額田王と初期万葉歌人』[コレクション日本歌人選](笠間書院)

3月8日発売予定です(取次搬入)。
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コレクション日本歌人選021
額田王と初期万葉歌人[梶川信行]
四六判・並製・120ページ
ISBN978-4-305-70621-8 C0092
定価:本体1200円(税別)
うたの森に、ようこそ。
柿本人麻呂から寺山修司、塚本邦雄まで、日本の代表的歌人の秀歌そのものを、堪能できるように編んだ、初めてのアンソロジー、全六〇冊。「コレクション日本歌人選」の、額田王と初期万葉歌人です。
華やかな活躍をみせた宮廷歌人・額田王と
さまざまに才能を開花させた歌人たちが織りなす、
古代和歌の豊かな世界。
額田王と初期万葉歌人 ぬかたのおおきみ・しょきまんようかじん
七世紀は、大化の改新、白村江の敗戦、壬申の乱に、相次ぐ遷都。まさに激動の時代であった。そのめまぐるしい歴史の動きの中で、王権の栄光と挫折をうたい、ひときわ鮮やかな光彩を放った女流歌人がいた。額田王である。初期万葉は和歌史の中に初めて、額田王を中心とするさまざまな才能が花開いた時代である。天智・天武といった天皇たちをはじめ、有間皇子、倭大后、鏡王女といった天皇家の人々も、短詩型の中にそれぞれ生の輝きを見せている。
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【著者プロフィール】
梶川信行 かじかわ・のぶゆき
1953年東京都生。日本大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学、博士(文学)。 現在 日本大学文理学部教授。
主要著書『万葉史の論 山部赤人』(翰林書房・上代文学会賞)『創られた万葉歌人 額田王』(塙書房)『初期万葉論〈上代文学会研究叢書〉』(編著・笠間書院)『万葉集と新羅』(翰林書房)『額田王 熟田津に船乗りせむと』(ミネルヴァ書房)
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【目次】
01 天皇の御製歌
籠もよ み籠持ち
掘串もよ み掘串持ち
この岳に 菜摘ます児
家告らせ 名告らさね
そらみつ 倭の国は
押しなべて 吾こそ居れ
しきなべて 吾こそ座せ
我こそは 告らめ 家をも名をも
02 天皇の香具山に登りて望国したまふ時の御製歌
大和には 群山あれど
とりよろふ 天の香具山
登り立ち 国見をすれば
国原は 煙立ち立つ
海原は かまめ立ち立つ
うまし国そ あきつ島 大和の国は
03 天皇の宇智の野に遊〓したまひし時、 〓(獣偏+葛)
中皇命の間人連老をして献らしめたまへる歌
やすみしし 我が大王の
朝には 取り撫で賜ひ
夕には い寄り立たしし
み執らしの 梓の弓の
中弭の 音すなり
朝〓に 今立たすらし 〓(獣偏+葛)
暮〓に 今立たすらし 〓(獣偏+葛)
み執らしの 梓の弓の
中弭の 音すなり
04 額田王の歌
秋の野の み草刈り葺き
宿れりし 兎道の宮処の
仮廬し念ほゆ
05 額田王の歌
熟田津に 船乗りせむと
月待てば 潮も適ひぬ
今は漕ぎ出でな
06 中大兄 近江宮に天の下知らしめしし天皇 三山歌
香具山は 畝火を愛しと
耳梨と 相争ひき
神代より かくにあるらし
古昔も 然にあれこそ
うつせみも 嬬を 争ふらしき
07 天皇の内大臣藤原朝臣に詔して、春山の萬花の艶ひと秋山の千葉の彩りを競ひ憐れびしめたまひし時、額田王の歌をもちて判れる歌
冬こもり 春去り来れば
喧かざりし 鳥も来鳴きぬ
開かざりし 花も咲けれど
山を茂み 入りても取らず
草深み 執りても見ず
秋山の 木の葉を見ては
黄葉をば 取りてそしのふ
青きをば 置きてそ歎く
そこし恨めし
秋山吾は
08 額田王の近江国に下りし時に作れる歌、井戸王の即ち和ふる歌
味酒 三輪の山
あをによし 奈良の山の
山の際に い隠るまで 
道の隈 い積もるまでに
委曲にも 見つつ行かむを
しばしばも 見放けむ山を
情無く 雲の 隠さふべしや
09 綜麻形の 林の先の
狭野榛の 衣に著くなす
目につく我が背
10 天皇の蒲生野に遊〓したまひし時、額田王の作れる歌 〓(獣偏+葛)
茜草指す 紫野行き 標野行き
野守は見ずや
君が袖振る
11 皇太子の答へませる御歌
紫草の にほへる妹を 憎くあらば
人妻ゆゑに 吾恋ひめやも
12 十市皇女の伊勢の神宮に参赴でます時に、波多の横山の巌を見て吹〓刀自の作れる歌 〓(草冠+欠)
河の上の ゆつ磐群に 草生さず
常にもがもな
常処女にて
13 麻続王の伊勢国の伊良虞の嶋に流されたる時に、人の哀傷びて作れる歌
打ち麻を 麻続王
海人なれや
伊良虞の嶋の 玉藻刈ります
14 麻続王のこれを聞きて感傷び和ふる歌
空蝉の 命を惜しみ
波に濡れ
伊良虞の嶋の 玉藻刈り食す
15 天皇の御製歌
み吉野の 耳我の嶺に
時無くそ 雪は降りける
間無くそ 雨は降りける
その雪の 時無きがごと
その雨の 間無きがごと
隈も落ちず 念ひつつそ来し
その山道を
16 天皇の吉野宮に幸せる時の御製歌
淑き人の 良しと吉く見て
好しと言ひし 芳野吉く見よ
良き人よく見
17 磐姫皇后の天皇を思ひて作りませる歌四首
君が行き 日長くなりぬ
山尋ね 迎へか行かむ
待ちにか待たむ
18 かくばかり 恋ひつつあらずは
高山の 磐根しまきて
死なましものを
19 ありつつも 君をば待たむ
うちなびく 我が黒髪に
霜の置くまでに
20 秋の田の 穂の上に霧らふ 朝霞
いつへの方に 我が恋やまむ
21 鏡王女の和へ奉れる御歌一首
秋山の 木の下隠り
行く水の 吾こそまさめ
思ほすよりは
22 内大臣藤原卿の鏡王女を娉ひし時に、鏡王女の内大臣に贈れる歌一首
玉匣 覆ふをやすみ
明けていなば 君が名はあれど
吾が名し惜しも
23 内大臣藤原卿の采女安見児を娶りし時に作れる歌一首
吾はもや 安見児得たり
皆人の 得かてにすとふ
安見児得たり
24 久米禅師の石川郎女を娉ひし時の歌五首
み薦刈る 信濃の真弓 我が引かば
貴人さびて いなと言はむかも 禅師
25 梓弓 引かばまにまに 寄らめども
後の心を 知りかてぬかも  郎女
26 大伴宿禰の巨勢郎女を娉ひし時の歌一首
玉葛 実成らぬ木には
ちはやぶる 神そつくといふ
成らぬ木ごとに
27 巨勢郎女の報へ贈れる歌一首
玉葛 花のみ咲きて
成らざるは 誰が恋ならめ
吾は恋ひ念ふを
28 天皇の藤原夫人に賜へる歌一首
吾が里に 大雪降れり
大原の 古りにし里に
降らまくは後
29 藤原夫人の和へ奉れる歌一首
吾が岡の 〓に言ひて  〓(雨冠+口みっつ+龍)
降らしめし 雪の摧けし
そこに散りけむ
30 有間皇子の自ら傷みて松が枝を結べる歌二首
磐白の 浜松が枝を 引き結び
真幸くあらば また還り見む
31 家にあれば 笥に盛る飯を
草枕 旅にしあれば
椎の葉に盛る
32 天皇の聖躬不予したまひし時に、大后の奉れる御歌一首
天の原 ふり放け見れば
大王の 御寿は長く
天足らしたり
33 天皇の大殯の時の歌二首
かからむの 懐ひ知りせば
大御船 泊てし泊りに
標結はましを  額田王
34 やすみしし 吾ご大王の
大御船 待ちか恋ふらむ
志賀の辛崎  舎人吉年
35 山科の御陵より退り散けし時に、額田王の作れる歌一首
やすみしし 吾ご大王の
恐きや 御陵奉仕ふる
山科の 鏡の山に
夜はも 夜のことごと
昼はも 日のことごと
哭のみを 泣きつつありてや
ももしきの 大宮人は 去き別れなむ
36 山吹の 立ちよそひたる 山清水
汲みに行かめど 道の知らなく
37 上宮聖徳皇子の竹原井に出遊しし時に、龍田山の死人を見て悲傷びて作りませる歌一首
家にあらば 妹が手巻かむ
草枕 旅に臥せる この旅人あはれ
38 額田王の近江天皇を思ひて作れる歌一首
君待つと 吾が恋ひ居れば
我が屋戸の 簾動かし
秋の風吹く
39 鏡王女の作れる歌一首
風をだに 恋ふるはともし
風をだに 来むとし待たば 
何か嘆かむ
40 崗本天皇の御製歌一首
暮去れば 小倉の山に 鳴く鹿は
今夜は鳴かず
い寝にけらしも
額田王の略伝
初期万葉関係年表
初期万葉系図
解説「古代の声を聞くために」(梶川信行)
読書案内
【付録エッセイ】万葉集と〈音〉喩–和歌における転換機能(近藤信義)