稲葉美樹著『飛鳥井雅経と藤原秀能』[コレクション日本歌人選](笠間書院)

12月9日発売予定です(取次搬入)。
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コレクション日本歌人選 026
飛鳥井雅経と藤原秀能[稲葉美樹]
ISBN978-4-305-70626-3 C0092
定価:本体1,200円(税別)
四六判・並製・118ページ
うたの森に、ようこそ。
柿本人麻呂から寺山修司、塚本邦雄まで、日本の代表的歌人の秀歌そのものを、堪能できるように編んだ、初めてのアンソロジー、全六〇冊。「コレクション日本歌人選」の、飛鳥井雅経と藤原秀能です。
優れた歌人を多く輩出した新古今集時代、後鳥羽院に歌才を見出された、蹴鞠の達人と北面の武士。
飛鳥井雅経と藤原秀能 あすかいまさつね・ふじわらのひでよし(しゅうのう)
定家や家隆らよりやや遅れて、伝統的な歌人の家の生まれではないものの、後鳥羽院にその才を認められ新古今歌壇への参加を果たした、新古今集時代の後衛歌人である二人。飛鳥井雅経は蹴鞠の名手で、歌道飛鳥井家の祖となるとともに蹴鞠の飛鳥井流の祖となった。藤原秀能は始め後鳥羽院に北面の武士として仕え、承久の乱では院方の武士として参陣したが、敗れて出家。如願法師を名乗った後も院の隠岐での和歌活動に協力する忠誠を示した。その双方の歌には、雅経の「移りゆく雲に嵐の声すなり散るかまさきの葛城の山」のように、定家ら専門歌人の歌にはない清新な気風が流れている。
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【著者プロフィール】
稲葉美樹 いなば・みき
神奈川県生。明治大学大学院修了。現在 十文字学園女子大学短期大学部非常勤講師。
主要論文「源実朝における中古文学受容の一側面」(『明治大学大学院紀要』)「『明日香井集』東国下向歌群(仮称)考」(『日本文芸思潮史論叢』)「飛鳥井雅経の『正治初度百首』詠」(『日本文学』)
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【目次】
飛鳥井雅経
01 み吉野の山の秋風さよふけてふるさと寒く衣打つなり
02 移りゆく雲に嵐の声すなり散るかまさきの葛城の山
03 影とめし露の宿りをおもひ出でて霜にあととふ浅茅生の月
04 白雲のいくへの山を越えぬらむ慣れぬ嵐に袖をまかせて
05 いたづらに立つや浅間の夕煙里訪ひかぬる遠近の山
06 消えねただ信夫の山の峰の雲かかる心の跡もなきまで
07 草枕結びさだめむ方知らずならはぬ野辺の夢の通ひ路
08 君が代にあへるばかりの道はあれど身をばたのまず行末の空
09 なれなれて見しは名残の春ぞともなど白河の花の下陰
10 ほととぎす鳴くや五月の玉くしげ二声聞きて明くる夜もがな
11 あしひきの大和にはあらぬ唐錦竜田の時雨いかでそむらん
12 たちかへり又もや越えむ峰の雲跡もとどめぬ四方の嵐に
13 花咲かでいく世の春にあふみなる朽木の杣の谷の埋もれ木
14 空蝉の羽におく露もあらはれて薄き袂に秋風ぞふく
15 池水に巌とならんさざれ石の数もあらはにすめる月かげ
16 君まちてふたたび澄める川水に千代そふ豊の禊をぞ見し
17 山の端に入るまで月をながむとも知らでや人の有明の空
18 淵は瀬に変はるのみかは飛鳥川昨日の波ぞ今朝はこほれる
19 あはれとて知らぬ山路は送りきと人にはつげよ有明の月
20 深草や霧の籬に誰すみて荒れにし里に衣打つらん
21 春日野の雪間の草のすり衣霞の乱れ春風ぞ吹く
22 宇陀野のや宿かり衣雉子たつ音もさやかに霰ふるなり
23 晴れやらぬ雲は雪気の春風に霞天霧るみ吉野の山
24 皆人の心ごころぞ知られける雪踏みわけて訪ふも訪はぬも
25 長き夜の佐夜の中山明けやらで月に朝たつ秋の旅人
26 波の上も眺めは限りあるものを心の果てぞ行方しられぬ
27 年のうちに春の日影やさしつらん三笠の山の恵みをぞみる
28 むばたまのこの黒髪をかきなでて思ひし末よかかるべしやは
藤原秀能
01 夕月夜潮満ちくらし難波江の蘆の若葉にこゆる白波
02 吹く風の色こそ見えね高砂の尾上の松に秋は来にけり
03 あしひきの山路の苔の露のうへにねざめ夜ぶかき月を見るかな
04 風吹けばよそに鳴海の片思ひ思はぬ浪に鳴く千鳥かな
05 露をだに今は形見の藤衣あだにも袖を吹く嵐かな
06 袖の上に誰ゆゑ月は宿るぞとよそになしても人の問へかし
07 今来むと頼めしことを忘れずはこの夕暮れの月や待つらん
08 人ぞ憂き頼めぬ月はめぐりきて昔忘れぬ蓬生の宿
09 月澄めば四方の浮雲空に消えて深山がくれに行く嵐かな
10 さ牡鹿の鳴く音もいたくふけにけり嵐の後の山の端の月
11 飛鳥川かはる淵瀬もあるものをせく方知らぬ年の暮れかな
12 心こそ行方も知らね秋風に誘はれいづる月をながめて
13 暮れかかる篠屋の軒の雨の中にぬれて言問ふほととぎすかな
14 鐘の音もあけはなれゆく山の端の霧に残れる有明の月
15 もの思ふ秋はいかなる秋ならむ嵐も月も変はるものかは
16 旅衣きてもとまらぬものゆゑに人だのめなる逢坂の関
17 踏み分けて誰かは訪はん蓬生の庭も籬も秋の白露
18 しづたまき数にもあらぬ身なれども仕へし道は忘れしもせず
19 逢ひがたき御代にあふみの鏡山曇りなしとは人もみるらむ
20 旅衣慣れずは知らじ大方の秋のあはれは思ひこしかど
21 白波の跡を尋ねしうれしさは朱の袂にあらはれにけり
22 都いでて百夜の波の仮枕なれても疎き物にぞありける
歌人略伝
略年譜
解説「後鳥羽院に見出された二人の歌人」–稲葉美樹
読書案内
【付録エッセイ】北面の歌人秀能(川田順)