●天野みどり『日本語構文の意味と類推拡張』(笠間書院)
10月下旬の刊行予定です。

天野みどり『日本語構文の意味と類推拡張』(笠間書院)
ISBN978-4-305-70563-1 C3081
定価:本体2,800円(税別)
A5判・並製・カバー装・240頁
どこか変だなと感じる文でも
意味がわかってしまうのはなぜか?
繰り返し使われる文のパターンから浮かぶ「類型的意味」。その「類型的意味」にあてはまるように、ちょっと変な文に意味を補ってみたり、臨時的に語の意味をずらしてみたり。こんな理解のメカニズムは、変な文だからといって切り捨てるのではなく、考察の中心に置いてはじめて明らかになる。
【本書は、語用論研究そのものを行ったのではなく、語用論の分野の問題として文法論研究からは切り離されてきた言語現象について、語用論の成果を参照しながら、日本語文法論の立場で説明を試みたということになる。
こうした考察により、人間が行うコミュニケーション上現れる様々な文の意味がどのように生まれ、意味理解され、柔軟に運用されるのか、人間がどのように少ない言語知識を用いて無限とも言える豊かな意味を創造しコミュニケーションを行っているのかという問題の解明に、日本語文法論の立場からも寄与するものがあるのではないかと考える。】......終章より
■著者プロフィール
天野みどり(あまの・みどり)
Amano Midori
1961年、東京生まれ。筑波大学第一学群人文学類言語学専攻(日本語学)卒業、筑波大学博士課程大学院文芸言語研究科言語学(日本語学)単位取得退学。博士(言語学)。
新潟大学人文学部助教授を経て、現在和光大学表現学部教授。
主著・論文に、『文の理解と意味の創造』(笠間書院、2002)、「周辺的な尊敬文の考察」『日本語文法』4巻2号(くろしお出版、2004)、『学びのエクササイズ 日本語文法』(ひつじ書房、2008) 。
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【目次】
はじめに
序章 総論
1.本書の目的−構文の重要性を明らかにすること
2.考察の対象−逸脱的特徴を持つ文
3.本書の主張−構文の意味と類推
4.天野(2002)の課題と本書の主張
5.語用論との接点
6.本書で扱う「拡張」という意味について
第1章 接続助詞的なヲの文ー「やろうとするのを手を振った」ー
要旨
0.はじめに
1.現代語の接続助詞的なヲについての先行研究
2.接続助詞的なヲの文の意味
2.1 ノニ文との違い
2.2 接続助詞的なヲの文の意味−自然な方向性に対する〈対抗動作性〉
2.2.1 当然〜べきところを/普通なら〜なのを
2.2.2 〜しようとするのを
2.2.3 〜ていたのを
2.2.4 〜たのを
2.2.5 ヲ句の表す内容から方向性を推論
3.他動詞の不在と他動性の解釈
3.1 発話行為に〈対抗動作性〉を解釈する
3.2 様々な述語に〈対抗動作性〉を解釈する
3.3 無いところに他動詞的意味を補って解釈する
4.類推による他動性の解釈
4.1 他動構文をベースとする類推
4.2 〈方向性制御〉他動構文の使用頻度
4.3 知覚・心的事態を表す他動構文はなぜベースとして選択されないか
4.4 ベースとなるのは最上位のスキーマか
4.5 「AガBヲV」型文の概観
4.6 方向性制御他動構文の位置づけ
4.7 方向性推進他動構文はなぜベースにならないか
5.語彙的他動性と推論による拡張他動性
6 〈対抗動作性〉と逆接
7.重層的変容解釈
7.1 国広(1967)(1970)
7.2 仁田(1997)
7.3 《二重化変容》と《一義化変容》
7.3.1 《二重化変容》
7.3.2 《一義化変容》
7.3.2.1 道具目的語構文
7.4 Goldberg(1995)(ゴールドバーグ(2001))−融合fusion
7.5 Carston(2002)(カーストン(2008))
8.二重ヲ句の許容
9. おわりに
第2章 古代語の接続助詞的なヲの文−古代語と現代語の対比−
要旨
0.はじめに
1.古代語のヲ句の三分類−近藤(1980)(2000)の吟味
2 古代格助詞ヲから接続助詞ヲの派生
3 接続助詞の認定条件の再考
3.1 接続助詞の認定条件???
3.2 古代語接続助詞条件??と、現代語のヲ句
3.3 古代語接続助詞条件?と、現代語のヲ句
4 松下(1930)
5.古代語のその他のヲ句
6.おわりに
第3章 古代語の接続助詞的なヲの文−紫式部日記と徒然草から−
要旨
0.はじめに
1.先行研究
2.『徒然草』『紫式部日記』調査
2.1 後続に他動詞が顕現する場合
2.2 後続に他動詞が顕現しない場合
2.3 後続に他動詞が出現せず、〈対抗動作性〉が解釈しにくい場合
3.おわりに
第4章 主要部内在型関係節と接続助詞的なヲー「リンゴを置いておいたのを取った」ー
要旨
0.はじめに
1.格の一致・不一致と、接続助詞的なヲの文
2.「格の不一致」は副詞句か?
3.「格の不一致」のヲ句は名詞性を喪失しているか?
3.1 レー(1988)
3.2 「事態の方向」という名詞性
4.坪本現象−照応詞ヲ句との二重ヲ句
4.1 対格1と対格2の二重生起−第1のタイプ−
4.2 反復的使用の「それを」−第2のタイプ−
5.「他動詞」顕在の他動構文の、2つのタイプ
6.おわりに
第5章 状況ヲ句文ー「豪雨の中を戦った」ー
要旨
0.はじめに
1.状況ヲ句についての先行研究
1.1 移動空間ヲ句との相違点
1.2 移動空間ヲ句との類似点
1.3 接続ヲ句との異同
1.4 ヲ句全体の共通性・典型性との関係
2.状況ヲ句の意味−〈状況〉とは何か
2.1 〜デとの相違点
2.2 〜ニモカカワラズとの相違点
2.3 動詞句の〈移動・対抗動作性〉
3 移動空間ヲ句文と状況ヲ句文との異なり
4 接続ヲ句文と状況ヲ句文との共通点と異なり
5.二重ヲ句の許容について
6.〈移動・対抗動作性〉と「AガBヲV」型文全体の意味的特徴との関係
7.おわりに
第6章 逸脱的な〈何ヲ〉文−「何を文句を言ってるの」ー
要旨
0.はじめに−「何を文句を言ってるの」文の特徴と問題提起
1.典型的疑問詞疑問文による〈とがめだて〉の表現
1.1 典型的疑問詞疑問文が〈とがめだて〉を表すのはなぜか
1.2 典型的疑問詞疑問文のうち、ヲ句が狭義の「対象」ではない場合
1.3 「何を」疑問詞疑問文の表す2つのとがめだて
1.4 臨時的他動性動詞句の想定
2. 逸脱的な〈何ヲ〉文の「何ヲ」の意味・機能
2.1 意図性自動詞文に「何ヲ」が結び付く場合
2.2 消極的意図性自動詞の場合
2.3 二重ヲ句の許容・語順の固定性
3.逸脱的な〈何ヲ〉文の他の研究による説明
3.1 Kurafuji(1996)・影山(2009)−統語的説明ー
3.2 高見(2010)−語用論的説明ー
3.3 Konno(2004)モダリティ・命題階層
3.4 なぜヲであるのか
4. おわりに
第7章 逸脱的な〈何ガ〉文−「何が彼女がお姫様ですか」ー
要旨
0.はじめに
1.先行研究
2.〈何ガ〉疑問詞疑問文
2.1 通常の〈何ガ〉疑問詞疑問文
2.2 逸脱的特徴を持つ〈何ガ〉疑問詞疑問文のタイプ
2.2.1 拡張〈何ガ〉疑問詞疑問文1−発話意図の補充要求
2.2.2 拡張〈何ガ〉疑問詞疑問文2−発話意図の補充要求+とがめだて
3.構文の鋳型のあてはめ−主格としての「何が」
4.逸脱的な〈何ヲ〉疑問詞疑問文との相違点
5.付加詞か主格の「ガ」句か
6.おわりに
終章
1.4つの逸脱的な文について
2.類推の過程について−天野(2002)からの展開
3.語用論との交流
4.今後の展望
参考文献
おわりに
索引






























































































































































































