丸山陽子著『兼好法師』[コレクション日本歌人選](笠間書院)

5月2日発売予定です(取次搬入)。
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コレクション日本歌人選 013
兼好法師[丸山陽子著]
ISBN978-4-305-70613-3 C0092
定価:本体1,200円(税別)
四六判・並製・122ページ
うたの森に、ようこそ。
柿本人麻呂から寺山修司、塚本邦雄まで、日本の代表的歌人の秀歌そのものを、堪能できるように編んだ、初めてのアンソロジー、全六〇冊。「コレクション日本歌人選」の第3回配本、兼好法師です。
兼好の歌はすべて非常に巧緻(こうち)である。—-山崎敏夫
兼好法師(けんこうほうし)
俗名は「吉田兼好(かねよし)」。ごぞんじ『徒然草』(つれづれぐさ)に優(すぐ)れた人生批評を残した文人である。京都・吉田神社の出身で、頓阿(とんあ)らと並ぶ二条派四天王の歌人として活躍、半僧半俗の一生を過ごした。二度以上鎌倉を訪れ、関東の事情にも通じていた。「花は盛りに月は隈(くま)なきをのみ見るものかは」といったその達観した人生訓は、江戸時代に入って褒めたたえられた。『太平記』の塩冶判官高貞(えんやほうがんたかさだ)の妻に横恋慕(よこれんぼ)した足利尊氏の執事高師直(こうのもろなお)から頼まれて恋文を代筆したなどという、世故にたけた通人としての逸話(いつわ)もある。
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【著者プロフィール】
丸山陽子(まるやま・ようこ)
*1975年長野県生。
*フェリス女学院大学大学院博士後期課程修了。博士(文学)。
*現在 フェリス女学院大学非常勤講師。
*主要著書
『歌人兼好とその時代』(笠間書院)
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【目次】
01 衣うつ夜寒の袖やしほるらんあか月露の深草の里
02 思ひいづや軒のしのぶに霜さえて松の葉わけの月を見し夜は
03 有明の月ぞ夜深き別れつる木綿付鳥や空音なりけむ
04 うきもまた契かはらでふるにいま袂ぬれつつ露やくだくる
05 夜も涼し寝覚めの仮廬手枕も真袖も秋に隔てなき風
06 はかなくてふるにつけてもあは雪の消えにし跡をさぞ偲ぶらむ
07 行き暮るる雲路の末に宿なくは都に帰れ春の雁がね
08 うち捨てて別るる道のはるけきに慕ふ思ひをたぐへてぞやる
09 行末の命を知らぬ別れこそ秋とも契る頼みなりけれ
10 世にしらず見えし梢ははつせ山君にかたらむことの葉もなし
11 最上河はやくぞまさる雨雲ののぼればくだる五月雨のころ
12 さわらびのもゆる山辺を来て見れば消えし煙の跡ぞかなしき
13 うちとけてまどろむとしもなきものを逢ふと見つるや現なるらん
14 待てしばしめぐるはやすき小車のかかる光の秋にあふまで
15 ふるさとの浅茅が庭の露のうへに床は草葉とやどる月かな
16 おしなべてひとつ匂ひの花ぞとも春にあひぬる人ぞしりける
17 めぐりあふ秋こそいとどかなしけれあるを見し世は遠ざかりつつ
18 千歳とも何か待つべき五十鈴川にごらぬ世にはいつも澄みけり
19 いとはやももみぢしてけり雲居路を鳴きて過ぐなる雁の涙に
20 大荒木の森の下枝も分かぬまで野辺の草葉の茂るころかな
21 柴の戸に独りすむよの月の影とふ人もなくさす人もなし
22 花ならぬ霞も波もかかるなり藤江の浦の春の曙
23 見ぬ人に咲きぬと告げむ程だにも立ち去り難き花のかげかな
24 朝まだき曇れる空を光にてさやけく見ゆる花の色かな
25 咲きにほふ藤の裏葉のうらとけて影ものどけき春の池水
26 湊川散りにし花の名残とや雲の波たつ春の浦風
27 大原やいづれおぼろの清水とも知られず秋は澄める月かな
28 冬枯れは野風になびく草もなく氷る霜夜の月ぞ寂しき
29 春近き鐘の響きの冴ゆるかな今宵ばかりと霜や置くらん
30 高砂の尾上を出る月だにもさのみはまつにさはるものかは
31 いかでわれ無漏の国にも生まれ来で有為の苦または受けつくすらむ
32 寂しさもなぐさむものは四緒の月待つほどの調べなりけり
33 世の中のあき田かるまでなりぬれば露も我が身も置きどころなし
34 思ひたつ木曽の麻布あさくのみそめてやむべき袖の色かは
35 住めばまた憂き世なりけりよそながら思ひしままの山里もがな
36 いかにしてなぐさむ物ぞ世の中を背かで過ぐす人に問はばや
37 山里に訪ひくる友もわきて猶心をとむる人は見えけり
38 年ふれば訪ひこぬ人もなかりけり世の隠れ家と思ふ山路を
39 山里は訪はれぬよりも訪ふ人の帰りて後ぞ寂しかりける
40 嵐吹くみ山の庵の夕暮をふるさと人は来ても訪はなん
41 かくしつついつを限りのしら真弓おきふし過ぐす月日なるらん
42 覚めぬれど語る友なき暁の夢の涙に袖はぬれつつ
43 昔思ふ籬の花を露ながら手折りて今も手向けつるかな
44 松風を絶えぬ形見と聞くからに昔のことの音こそ泣かるれ
45 おくれゐて跡弔ふ法の勤めこそ今ははかなき名残なりけれ
46 契りおく花とならびの岡のへにあはれ幾世の春を過ぐさむ
47 逃れえぬ老蘇森のもみぢ葉は散交ひ曇るかひなかりけり
48 わび人の涙になるる月影はかすむを春のならひとも見ず
49 見し人もなき故郷に散りまがふ花にもさぞな袖は濡るらん
50 帰り来ぬ別れをさても嘆くかな西にとかつは祈るものから
歌人略伝
略年譜
解説「歌人 兼好法師–生涯の記録『兼好法師集』」(丸山陽子)
読書案内
【付録エッセイ】長明・兼好の歌(山崎敏夫)