島内景二著『塚本邦雄』[コレクション日本歌人選](笠間書院)

3月4日ころの刊行です。
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コレクション日本歌人選 019
塚本邦雄[島内景二著]
ISBN978-4-305-70619-5 C0092 
定価:本体1,200円(税別)
四六判・並製・120ページ
うたの森に、ようこそ。
柿本人麻呂から寺山修司、塚本邦雄まで、日本の代表的歌人の秀歌そのものを、堪能できるように編んだ、初めてのアンソロジー、全六〇冊。「コレクション日本歌人選」の第1回配本、塚本邦雄です。
少年時代、私は一通の手紙で彼と出会い、彼の「楽園」に案内されたのであった。塚本邦雄は、実際に逢うまでは実在の人物かどうか、私たち愛読者にさえ謎であった。—-寺山修司
塚本邦雄(つかもとくにお)
前衛短歌運動の輝ける旗手として、詩歌の可能性を飛躍的に拡大し、戦後日本で「短歌には何ができるか」を鋭く問いかけた。その苦闘の成果は、世界的な混迷を深める二十一世紀で、「芸術と人間は何をなすべきか」を見いだすための手がかりとなる。「前衛=難解」という従来のイメージを払拭(ふっしょく)し、塚本が追い求めた「短歌」の生命力に肉迫する。そのために、五十のキーワードに基づく秀歌五十首を選び、塚本ワールドへの入口とした。また、それぞれの歌を多角的に理解するために、本文では歌の鑑賞を行い、脚注では歌の背景を詳しく解説した。一首の歌を本文と脚注とで「二度味わう」ことで、塚本短歌の発生と影響力が、あますところなく解明される。
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【著者プロフィール】
島内景二(しまうち・けいじ)
* 1955年長崎県生。
* 東京大学文学部卒業、東京大学大学院修了。博士(文学)。
* 現在 電気通信大学教授。
* 主要著書
『源氏物語の影響史』(笠間書院)
『柳沢吉保と江戸の夢』(笠間書院)
『楽しみながら学ぶ作歌文法・上下』(短歌研究社)
『三島由紀夫 豊饒の海へ注ぐ』(ミネルヴァ書房)
『北村季吟』(ミネルヴァ書房)
『中島敦「山月記伝説」の真実』(文春新書)
『文豪の古典力』(文春新書)
『光源氏の人間関係』(ウエッジ文庫)
『源氏物語ものがたり』(新潮新書)
『教科書の文学を読みなおす』(ちくまプリマー新書)
『短歌の話型学 新たな読みを求めて』(書肆季節社)
『小説の話型学 高橋たか子と塚本邦雄』(書肆季節社)
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【目次】
01 初戀の木陰うつろふねがはくは死より眞靑にいのちきらめけ
02 錐・蠍・旱・雁・掏摸・檻・囮・森・橇・二人・鎖・百合・塵
03 サッカーの制吒迦童子火のにほひ矜羯羅童子雪のかをりよ
04 詩歌變ともいふべき豫感夜の秋の水中に水奔るを視たり
05 革命歌作詞家に凭りかかられてすこしづつ液化してゆくピアノ
06 燻製卵はるけき火事の香にみちて母がわれ生みたること恕す
07 死に死に死に死にてをはりの明るまむ靑鱚の胎てのひらに透く
08 われがもつとも惡むものわれ、鹽壺の匙があぢさゐ色に腐れる
09 殺戮の果てし野にとり遺されしオルガンがひとり奏でる雅歌を
10 聖母像ばかりならべてある美術館の出口につづく火藥庫
11 帝王のかく閑かなる怒りもて割く新月の香のたちばなを
12 紫陽花のかなたなる血の調理臺 こよひ食人のたのしみあらむ
13 桔梗苦しこのにがみもて滿たしめむ男の世界全く昏れたり
14 夏もよしつねならぬ身と人はいへたかねに顯ちていかに花月は
15 涙 そそぐ 木の夕影に なびく藤きみは 寂しき死を ねむる 蝶
16 玩具凾のハーモニカにも人生と呼ぶ獨房の二十四の窓
17 一月十日 藍色に睛れヴェルレーヌの埋葬費用九百フラン
18 桐に藤いづれむらさきふかければきみに逢ふ日の狩衣は白
19 昔、男ありけり風の中の蓼ひとよりもかなしみと契りつ
20 おおはるかなる沖には雪のふるものを胡椒こぼれしあかときの皿
21 掌の釘の孔もてみづからをイエスは支ふ 風の雁來紅
22 ほほゑみに肖てはるかなれ霜月の火事のなかなるピアノ一臺
23 ディヌ・リパッティ紺靑の樂句斷つ 死ははじめ空間のさざなみ
24 世界の黄昏をわがたそがれとしてカルズーの繪の針の帆柱
25 馬を洗はば馬のたましひ冱ゆるまで人戀はば人あやむるこころ
26 突風に生卵割れ、かつてかく撃ちぬかれたる兵士の眼
27 にくしみに支へられたるわが生に暗綠の骨の夏薔薇の幹 
28 夢の沖に鶴立ちまよふ ことばとはいのちをおもひ出づるよすが
29 櫻桃にひかる夕べの雨かつて火の海たりし街よ未來も
30 ただ一燈それさへ暗きふるさとの夜夜をまもりて母老いたまふ
31 はつなつのゆふべひたひを光らせて保險屋が遠き死を賣りにくる
32 蕗煮つめたましひの贄つくる妻、婚姻ののち千一夜經つ
33 子を生しし非業のはての夕映えに草食獸の父の齒白き
34 さらば百合若 驟雨ののちをやすらへる昧爽の咽喉ゆふぐれの腋
35 獻身のきみに殉じて寢ねざりしそのあかつきの眼中の血
36 玲瓏と冬の虹たつ 昨日まひる刎頸の友が咽喉を切られし
37 ロミオ洋品店春服の靑年像下半身無し***さらば靑春
38 建つるなら不忠魂碑を百あまりくれなゐの朴ひらく峠に
39 炎天ひややかにしづまりつ終の日はかならず紐育にも〓(記号)爆
40 日本脱出したし 皇帝ペンギンも皇帝ペンギン飼育係りも
41 おほきみはいかづちのうへわたくしの舌の上には烏賊のしほから
42 モネの僞「睡蓮」のうしろがぼくんちの後架ですそこをのいてください
43 歌すつる一事に懸けて晩秋のある夜うすくれなゐのいかづち
44 罌粟枯るるきりぎしのやみ綺語驅つていかなる生を寫さむとせし
45 七月の眞晝なれども紺靑のコモ湖こころのふかきさざなみ
46 右大臣は常に悲しく「眼中の血」の菅家「ちしほのまふり」實朝
47 イエスは架りわれはうちふす死のきはを天靑金に桃咲きみてり
48 枇杷の汁股間にしたたれるものをわれのみは老いざらむ老いざらむ
49 皐月待つことは水無月待ちかぬる皐月まちゐし若者の信念
50 醫師は安樂死を語れども逆光の自轉車屋の宙吊りの自轉車
歌人略伝
年譜
解説「前衛短歌の巨匠塚本邦雄」(島内景二)
読書案内
【付録エッセイ】ドードー鳥は悪の案内人–『塚本邦雄歌集』(寺山修司)