田中登著『紀貫之』[コレクション日本歌人選](笠間書院)

3月4日ころ刊行予定です。
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コレクション日本歌人選 005
紀貫之[田中登著]
ISBN978-4-305-70605-8 C0092
定価:本体1,200円(税別)
四六判・並製・122ページ
うたの森に、ようこそ。
柿本人麻呂から寺山修司、塚本邦雄まで、日本の代表的歌人の秀歌そのものを、堪能できるように編んだ、初めてのアンソロジー、全六〇冊。「コレクション日本歌人選」の第1回配本、紀貫之です。
ありとあらゆる事物の象徴であるところの言葉というものがつくる別天地が、かれにははっきりと認識されていたと思われる—-大岡信
紀貫之(きのつらゆき)
日本の和歌に漢詩に基づく機知的な表現を導入し、明治期まで続いた長い和歌伝統の礎を作った古今集歌人。受領階級という低い官位のまま終わったが、職能歌人として多くの屏風歌を提供、晩年には仮名文の日記紀行『土佐日記』を著すなど生涯を表現者として過ごした。『古今集』仮名序の「やまと歌は人の心を種としてよろづの言の葉とぞなれりける」と始まるその文章は、日本初の歌論として後世に多大な影響を与えた。『百人一首』に「人はいさ心も知らず—-」の名歌を残す。
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【著者プロフィール】
田中登(たなか・のぼる)
* 1949年愛知県生。
* 名古屋大学大学院単位取得。
* 現在 関西大学文学部教授。
* 主要著書
『校訂貫之集』(和泉書院)
『古筆切の国文学的研究』(風間書房)
『平成新修古筆資料集』(思文閣出版)
『王朝びとの恋うた』(笠間書院)
『失われた書を求めて』(青簡舎)ほか。
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【目次】
01 夏の夜のふすかとすれば郭公鳴くひと声にあくるしののめ
02 桜花散りぬる風のなごりには水なき空に波ぞ立ちける
03 桜散る木の下風はさむからで空に知られぬ雪ぞ降りける
04 袖ひちてむすびし水の凍れるを春立つ今日の風や解くらむ
05 人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける
06 桜花とく散りぬともおもほへず人の心ぞ風も吹きあへず
07 秋の菊にほふかぎりはかざしてむ花より先と知らぬわが身を
08 見る人もなくて散りぬる奥山の紅葉は夜の錦なりけり
09 夕月夜小倉の山に鳴く鹿の声のうちにや秋はくるらむ
10 行く年のをしくもあるかなますかがみ見る影さへにくれぬと思へば
11 むすぶ手のしづくに濁る山の井の飽かでも人に別れぬるかな
12 糸によるものならなくに別路の心細くもおもほゆるかな
13 小倉山峰立ちならし鳴く鹿の経にけむ秋を知る人ぞなき
14 吉野河岩波高くゆく水のはやくぞ人を思ひそめてし
15 世の中はかくこそありけれ吹く風の目に見ぬ人も恋ひしかりけり
16 人知れぬ思ひのみこそわびしけれわが嘆きをば我のみぞ知る
17 色もなき心を人に染めしよりうつろはむとは思ほえなくに
18 色ならばうつるばかりも染めてまし思ふ心をえやは見せける
19 玉の緒の絶えてみじかき命もて年月ながき恋もするかな
20 暁のなからましかば白露のおきてわびしき別れせましや
21 行きて見ぬ人もしのべと春の野のかたみに摘める若菜なりけり
22 花もみな散りぬる宿はゆく春のふるさととこそなりぬべらなれ
23 逢坂の関の清水に影見えて今や引くらむ望月の駒
24 唐衣打つ声聞けば月清みまだ寝ぬ人を空に知るかな
25 来ぬ人を下に待ちつつ久方の月をあはれといはぬ夜ぞなき
26 いづれをか花とはわかむ長月の有明の月にまがふ白菊
27 大空にあらぬものから川上に星かと見ゆる篝火の影
28 訪ふ人もなき宿なれど来る春は八重葎にもさはらざりけり
29 思ひかね妹がり行けば冬の夜の川風寒み千鳥鳴くなり
30 一年に一夜と思へど七夕の逢ひ見む秋のかぎりなきかな
31 今日明けて昨日に似ぬはみな人の心に春ぞ立ちぬべらなり
32 春ごとに咲きまさるべき花なれば今年をもまだ飽かずとぞ見る
33 吹く風に氷とけたる池の魚は千代まで松の蔭に隠れむ
34 かつ越えて別れも行くか逢坂は人だのめなる名にこそありけれ
35 明日知らぬ命なれども暮れぬまの今日は人こそあはれなりけれ
36 君まさで煙絶えにし塩釜のうらさびしくも見えわたるかな
37 石上古く住みこし君なくて山の霞は立ちゐわぶらむ
38 恋ふるまに年の暮れなば亡き人の別れやいとど遠くなりなむ
39 唐衣新しくたつ年なれどふりにし人のなほや恋しき
40 影見れば波の底なるひさかたの空こぎわたる我ぞわびしき
41 君恋ひて世を経る宿の梅の花昔の香にぞなほにほひける
42 なかりしもありつつ帰る人の子をありしもなくて来るがかなしさ
43 こと夏はいかが聞きけむ郭公こよひばかりはあらじとぞ思ふ
44 かきくもりあやめも知らぬ大空にありとほしをば思ふべしやは
45 霜枯れに見えこし梅は咲きにけり春にはわが身あはむとはすや
46 高砂の峰の松とや世の中を守る人とやわれはなりなむ
47 家ながら別るる時は山の井の濁りしよりもわびしかりけり
48 花も散り郭公さへいぬるまで君にゆかずもなりにけるかな
49 またも来む時ぞと思へど頼まれぬわが身にしあれば惜しき春かな
50 手にむすぶ水に宿れる月影のあるかなきかの世にこそありけれ
歌人略伝
略年譜
解説「平安文学の開拓者紀貫之」(田中登)
読書案内
【付録エッセイ】古今集の新しさ–言語の自覚的組織化について(抄)(大岡信)