村尾誠一著『藤原定家』[コレクション日本歌人選](笠間書院)

3月4日頃の刊行予定です。
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コレクション日本歌人選 011
藤原定家[村尾誠一著]
ISBN978-4-305-70611-9 C0092
定価:本体1,200円(税別)
四六判・並製・120ページ
うたの森に、ようこそ。
柿本人麻呂から寺山修司、塚本邦雄まで、日本の代表的歌人の秀歌そのものを、堪能できるように編んだ、初めてのアンソロジー、全六〇冊。「コレクション日本歌人選」の第1回配本、藤原定家です。
定家において、歌は感情の自然の流露という趣(おもむき)を失った。心情の直接吐露が歌ではない。歌は現実生活との断絶の上に始めて成立する。それが乱世乱代における定家の生き方であった。—-唐木順三
藤原定家(ふじわらていか)
あの『百人一首』の編者。若くして才能を発揮し、「達磨歌」(だるまうた)と揶揄(やゆ)される前衛歌を詠んだ。古典の世界の上に立ち、失われた王朝美の再現を目指す唯美(ゆいび)的歌風が後鳥羽院の推輓(すいばん)を受け、『新古今和歌集』の撰者の一人となる。以後、歌壇の第一人者として君臨した。承久の乱後『新勅撰和歌集』を撰し、また王朝の古典テキストの継承に多大の功績を果たし、子孫から神のように崇められてその権威を中世に長く誇ったことで知られる。国宝の漢文日記『明月記』(めいげつき)数十巻を今に残す。
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【著者プロフィール】
村尾誠一(むらお・せいいち)
* 1955年東京都生。
* 東京大学大学院修了。博士(文学)
* 現在 東京外国語大学大学院教授。
* 主要著書
『中世和歌史論 新古今和歌集以後』(青簡舎)
『残照の中の巨樹 正徹』(新典社)
『新続古今和歌集』(明治書院)
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【目次】
01 桜花またたちならぶ物ぞなき誰まがへけん峰の白雲
02 天の原思へばかはる色もなし秋こそ月のひかりなりけれ
03 いづくにて風をも世をも恨みまし吉野の奥も花は散るなり
04 見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮
05 あぢきなくつらきあらしの声もうしなど夕暮に待ちならひけん
06 わすれぬやさはわすれける我が心夢になせとぞいひてわかれし
07 須磨の海人の袖に吹きこす潮風のなるとはすれど手にもたまらず
08 帰るさの物とや人のながむらん待つ夜ながらの有明の月
09 里びたる犬の声にぞ知られける竹より奥の人の家居は
10 問はばやなそれかとにほふ梅が香にふたたび見えぬ夢のただ路を
11 望月のころはたがはぬ空なれど消えけん雲のゆくへかなしな
12 さむしろや待つ夜の秋の風ふけて月をかたしく宇治の橋姫
13 あけばまた秋のなかばもすぎぬべしかたぶく月の惜しきのみかは
14 おもだかや下葉にまじるかきつばた花踏み分けてあさる白鷺
15 たまゆらの露も涙もとどまらずなき人こふる宿の秋風
16 なびかじな海人の藻塩火たきそめて煙は空にくゆりわぶとも
17 年も経ぬ祈る契りははつせ山をのへの鐘のよその夕暮
18 忘れずはなれし袖もやこほるらん寝ぬ夜の床の霜のさむしろ
19 契りありて今日宮河のゆふかづら長き世までもかけて頼まん
20 旅人の袖ふきかへす秋風に夕日さびしき山のかけはし
21 ゆきなやむ牛のあゆみにたつ塵の風さへあつき夏の小車
22 大空は梅のにほひに霞みつつくもりもはてぬ春の夜の月
23 霜まよふ空にしをれしかりがねの帰るつばさに春雨ぞ降る
24 春の夜の夢の浮き橋とだえして峰にわかるる横雲の空
25 夕暮はいづれの雲のなごりとて花橘に風のふくらん
26 わくらばに問はれし人も昔にてそれより庭のあとはたえにき
27 梅の花にほひをうつす袖の上に軒もる月の影ぞあらそふ
28 駒とめて袖うちはらふかげもなし佐野の渡りの雪の夕暮
29 君が代に霞をわけしあしたづのさらに沢辺の音をやなくべき
30 さくら色の庭の春風あともなし訪はばぞ人の雪とだにみん
31 ひさかたの中なる川の鵜飼ひ舟いかにちぎりて闇を待つらん
32 ひとりぬる山鳥の尾のしだり尾に霜おきまよふ床の月影
33 わが道をまもらば君をまもるらんよはひはゆづれ住吉の松
34 消えわびぬうつろふ人の秋の色に身をこがらしの森の下露
35 袖に吹けさぞな旅寝の夢も見じ思ふ方よりかよふ浦風
36 白妙の袖の別れに露落ちて身にしむ色の秋風ぞ吹く
37 かきやりしその黒髪のすぢごとにうちふすほどは面影ぞたつ
38 春を経てみゆきになるる花の陰ふりゆく身をもあはれとや思ふ
39 都にもいまや衣をうつの山夕霜はらふつたのした道
40 秋とだに吹きあへぬ風に色かはる生田の森の露の下草
41 大淀の浦にかり干すみるめだに霞にたえて帰るかりがね
42 名もしるし峰のあらしも雪とふる山さくら戸のあけぼのの空
43 鐘の音を松にふきしくおひ風に爪木や重きかへる山人
44 初瀬女のならす夕の山風も秋にはたへぬしづのをだまき
45 昨日今日雲のはたてにながむとて見もせぬ人の思ひやはしる
46 来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩の身もこがれつつ
47 道のべの野原の柳したもえぬあはれ歎きの煙くらべに
48 しぐれつつ袖だにほさぬ秋の日にさこそ御室の山はそむらめ
49 ももしきのとのへを出づるよひよひは待たぬにむかふ山の端の月
50 たらちねのおよばず遠きあと過ぎて道をきはむる和歌の浦人
歌人略伝
略年譜
解説「藤原定家の文学」(村尾誠一)
読書案内
【付録エッセイ】古京はすでにあれて新都はいまだならず(唐木順三)