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2006年10月 6日

 記事のカテゴリー : 受賞図書, 書評・パブリシティ情報

●本年度、第28回角川源義賞[文学研究部門]・小川剛生氏『二条良基研究』(笠間書院刊)が受賞

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小川剛生氏『二条良基研究』が
本年度、第28回角川源義賞[文学研究部門]を受賞いたしました。

ちなみに、
本年度、第28回角川源義賞[歴史研究部門]は、
藤田覚氏『近世後期政治史と対外関係』(東京大学出版会)。
第4回角川財団学芸賞には、
三枝昴之氏『昭和短歌の精神史』(木阿弥書店)、が選ばれました。
両賞とも、贈呈式・祝賀会は18年12月4日、午後5時から東京會舘にて行われます。

小川剛生氏は角川源義賞における、最年少の受賞者であると、
主催者から発表がありました。

[プロフィール]
小川剛生(おがわ・たけお)
1971年(昭和46年)東京生まれ。
慶應義塾大学文学部卒業、
同大学大学院文学研究科博士課程中退。
熊本大学助教授を経て、現在、国文学研究資料館助教授。
●国文学研究資料館の小川剛生氏紹介ページ

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二条良基研究
ISBN4-305-10362-1 
定価:本体14,000円(税別) 
A5判・上製函入・672頁
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二条良基の生涯は、後醍醐天皇と足利義満の間にあって、
武家の権力と王朝の文化が一体となった
政権の確立に捧げられた。
王朝の精神を継承しつつ、あらゆる学藝の指導者として、
活気ある新時代を創り出していった執政の、
初めての総合的な研究。

【目次】
 例言
序章
第1篇 伝記考証
 第一章 元応─貞和(1320 ─1349)期
 第二章 観応─延文(1350 ─1359)期
 第三章 康安・貞治(1360 ─1369)期
 第四章 応安・永和(1370 ─1378)期
 第五章 康暦・永徳(1379 ─1382)期
 第六章 至徳・嘉慶(1383 ─1388)期
 第七章 押小路烏丸殿
第2篇 朝儀典礼
 第一章 即位潅頂と摂関家
 第二章 除目説
第3篇 宮廷藝能
 第一章 北朝和歌御会について
   ─「御会始」から「歌会始」へ─
 第二章 北朝蹴鞠御会について
 第三章 中世艶書文例集の成立
   ─堀河院艶書合から詞花懸露集へ
 第四章 良基と世阿弥
   ─「良基消息詞」偽作説をめぐって
第4篇 学問著作
 第一章 有職学と古典学─年中行事歌合
 第二章 歌論と連歌─愚問賢注
 第三章 漢学と書物
 第四章 王朝官制への関心─百寮訓要抄
 附 章 四辻善成の生涯
終章
 二条良基年譜
 初出一覧
 索引
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以下、本書刊行直後に寄せて頂いた、推薦文です。

井上宗雄[立教大学名誉教授]

 小川氏の新著は、南北朝時代文学史において著名な二条良基の生涯とその業績について詳述した労作である。しかし本書は文芸の面のみならず、朝儀典礼、宮廷における芸能の諸相、有職、古典学、歌論・連歌論、漢学など、広い領域にわたって緻密な考察を行い、附章では、良基の猶子で、著名な源氏学者四辻善成の伝と業績を、更に終章では、慎重な筆致ながら増鏡の性格・成立についてきわめて注意すべき言及を行っている。
 いうまでもなく良基は連歌・和歌などの文芸の人であると共に、政治的には後醍醐・光厳以下七朝に仕え、終生後醍醐を敬慕しつつも、摂政・関白として、長く北朝政権を支え、また将軍足利義満の「扶持の人」として深い交流を持ち、激動の時代を生き抜いた人物である。
 小川氏著書における叙述は、既刊・未刊を問わず典籍・記録・文書を博捜し、その厳密な文献批判と読みによって、上に述べたような良基の多岐にわたる事跡の確実な推定と的確な評価(歴史的位置づけ)を行うことにおいて一貫している。特に注意されるのは、良基の生涯と業績を、時代の動向と見事に関わらせつつ浮き彫りにし、また先学未到の歴史・文学にわたる広い領域に駒を進めてその全体像を明らかにしたことであろう。全編新見に溢れた、研究史上に高い位置を占める学術書というに憚らない。


五味文彦[東京大学教授]

 驚嘆すべき本である。人物研究は数多くあり、書物の研究も多くあるなか、人物研究と書物研究とをあわせて行って、このように刮目すべき成果をあげた本はかつてなかったのではなかろうか。
 二条良基は南北朝期の政治家にして、最高の文化人であるというだけでなく、中世の転換点に位置しており、その存在を探ることは、中世の歴史や文化を見通して考えるうえでも決定的に重要である。そこで先に私も中世の書物史を構想した時、良基も探ることを考えたのだか、とても手が出せないと感じた。中途半端に行えば、全く貧しいものとなってしまうことがすぐにわかったからであり、多くのエネルギーと精神力とが必要と直感したからである。
 しかるに本書にはそのエネルギーと精神力とが満ち溢れている。豊かな構想力を背景にして徹底的に史料を渉猟し、それに透徹した鋭い分析を施しており、その仕上がりはまことに見事という他にない。完全に脱帽させられた。
 日本文学や日本史学を始めとする多くの研究者や書物の愛好家、一般読者が本書を読まれ、そこから書物と人物とに注がれた熱い情熱と分析力など多くのことを読みとって欲しいと切に思う。


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